世界でたった1人のパッケージマーケッター®パケマツの松浦先輩から聴く、百発百中の救世主「パッケージマーケティング」について

世界でたった1人のパッケージマーケッター®パケマツの松浦先輩から聴く、百発百中の救世主「パッケージマーケティング」について

今回は、徳島県を本拠地として事業をされている、
株式会社パッケージ松浦の松浦さんにお話をうかがいました。

実は松浦さんは学部や時期こそ違えど、大学の先輩にあたります。
世界で唯一のパッケージマーケッター®のお仕事と、SDGsの関係、などについて
深掘りさせていただきます。

株式会社パッケージ松浦HP
https://www.p-matsuura.co.jp/

松浦さんフェイスブック
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松浦さんツイッター
https://twitter.com/p_matsuura

松浦さんインスタグラム
https://www.instagram.com/matsuurayouji/

パッケージマーケッター®とは

R:かんたんな自己紹介からお願い致します!御社の事業についてもお教えくださいませ!

M:株式会社パッケージ松浦、通称パケマツの代表取締役の松浦です。
「パッケージを変え、世界を変える」をテーマに、徳島を拠点に全国へとパッケージマーケティングを広めています。パッケージを変えることで、本当に売上が上がるんですよ。百発百中ですね。百発百中。
商品とパッケージって、本来セットなんですよね。一心同体です。商品が良くてもパッケージが良くないと完全体ではないんですよね。
ただ、世の中にはパッケージで損をしてしまっている商品が非常に多いです。
そこでパッケージを良くすると、売上もあがり、ブランド力も高まります。弊社ではパッケージの企画から制作、納品まで一気通貫で提供させていただいています。元々は卸売業から始まっています。

R:パッケージマーケッター®という言葉がとても印象的なのですが、パッケージマーケッター®とはどのような職業なのでしょうか?パッケージマーケッター®になられたきっかけなども教えてください。

M:パッケージマーケッター®とは、「良いものなのに売れていない」そんな商品にスポットライトをあてて、世の中に価値を認めてもらう(売れる)きっかけづくりをする存在です。
パッケージマーケッター®と称するようになったきっかけとしては、確か2012年か2013年頃でしょうか。
当時、代表取締役って肩書は相手からすると何をしてくれるのか意外と分かりづらいよな、と感じていました。なんとなくパッケージマーケティングというという言葉をブログで使うようになりました。
そうしているうちに、パッケージマーケッターってなんかいいな、パッケージで売上を上げてくれそうな印象だ、と感じ、その言葉を使うようになりました。ある時、パッケージマーケッターでインターネット検索してみると、なんと私が検索結果1位で、慌てて商標をとりました。

R:御社にとってはコロナ禍において事業上の変化などはおありでしたでしょうか?

M:ダメージについて言うと、実は最初の緊急事態宣言(2020.4~)と同時期にレジ袋の有料化(2020.7~)という出来事が有り、全体の売上の10%ほどが下がりました。
コロナ禍については、特に影響が出たのが、お土産のパッケージですね。外出自粛がありましたからね。
ただ、メリットもあり、その代表例がオンラインでの商談です。おかげさまで全国にお客さんができました。以前はお問い合わせをいただいても、地域によっては先方の求めるタイミングで現地に行くことが出来ずに案件につながらないこともありました。しかし、オンラインでのコミュニケーションが当たり前になったことで、エリアの壁が取り払われました。
そんな中、弊社では早いタイミングでオンライン会議システムに慣れていたため、オンラインMTGの恩恵を享受することができました。
福岡からの餃子のパッケージ制作依頼、神戸のトイプードル用のローションのパッケージ制作の依頼、
福井県のお土産用のラーメンのパッケージ制作の依頼などは基本的にオンラインですべて進めました。
福岡からの餃子については、それをSNS投稿したところ、東京からも餃子のパッケージ制作の依頼が来たりということもありましたね。

R:確かにオンラインだと場所の制約もなくなり便利ですね。私も10年ぶりに友達とオンラインで再会したりできました。以前だと発想としてありませんでした。確かに松浦さんはとてもオンラインでのコミュニケーションに精通されている印象を受けます。

M:実はオンラインMTGのメリットって、パケマツの場合は他にもあるんですよ。
例えば、パッケージデザインをつくっていくときに、色のトーンを微調整するなどの、デザインの修正依頼が入ることがあるんですよね。
これまでは例えば、先方を訪問して、デザイン案を見せて修正が入って、それを持ち帰り修正して、再訪問して、という流れだったところが、オンラインだとお客様に画面でパッケージのイメージを見ていただきながら、その場で微調整ができるのでかなり効率が上がりました。
そうそう、コロナ禍に手掛けた、という観点でいうと、大阪の串カツ屋さんの通販のダンボールもありますね。コロナ禍で客足が途絶え、なんかできることはないかと、通販を始めたんです。その通販のダンボールのご依頼でした。そこのお店って、店内落書き自由なんですよ。
店内のように、ダンボールに余白をつくって自由に絵が描けるようにしたり、塗り絵ができるような仕様にしたり、「捨てられないダンボール」をテーマにパッケージ制作をさせていただきました。
思う存分、このダンボールで遊んでほしいですね!落書き自由な、そのお店らしさも出ていますよね。

R:鳥取のお豆腐屋さんの例でしたり、徳島の焼肉の例でしたり、パッケージ1つで魔法のように商品のイメージが変わることに驚きました、これまでに手掛けられた中で、印象的だった事案について、何点か教えていただいてもよろしいでしょうか。また、通常、どれくらいの時間をかけられているのでしょうか。

M:最近でいうと、「大トロつぶれ梅」ですね。和歌山県にある食品会社さまからご相談を受けました。
「これまで高級品の梅しか扱ってこなかったが、つぶれ梅も売り出したい」ということで、そのパッケージのご相談でした。つぶれ梅というのは単純に製造工程の中で生じた梅ではなく、最後の最後の瞬間に、A級品としては出せなくなってしまった、ほぼA級品とも言える、梅のことだったんです。
実際に試食させていただくと、大トロのように口の中でとろけたので、大トロ梅でいきましょう!と私はプッシュしたのですが、先方のご意向もあり、大トロつぶれ梅、というネーミングに落ち着きました。そして、北海道であった物産展に出したところ、準備した400個があっという間に売り切れたようです。
大トロつぶれ梅の試食の呼び込みをしたところ、大トロ(魚の)の試食ができると思ってきた方もいらっしゃったみたいです。(笑)
ネーミングは会話のきっかけにもなりますし、パッケージと同様に重要な点ですね。大トロつぶれ梅の場合は、1週間ほど商品名を決めるのに時間をかけました。

売れるパッケージをつくるプロ

R:HPを拝見させていただいて、梨のお話にも驚きました。

M:「合格間違い梨」のことですね。あれは2014年のことですが、大型の台風の影響でトラック5杯分もの梨が落ちてしまったんです。
そんな中、落ちずに残った梨を落ちなかった奇跡にあやかって、絶対合格間違い梨という商品名で販売しました。パッケージも合格祈願の「だるま」にしました。そのパッケージを合格祈願で有名な、お松大権現でご祈祷し、お守りもつけました。
そのパッケージのだるまに自分で目を入れることで、目標を見失わない、という意味が込められています。
ご自身のお子さんのため、試験に臨む友人・知人のため、など、大変好評でした。

R:一番最初はどのような案件だったんですか?

M:「今夜は焼肉じゃ」ですね。2011年にブログをはじめていたのですが、それを見てか、電話で連絡が来ました。端的にいうと、「商品が売れるパッケージをつくるプロなんでしょ?」と聞かれました。返答はもちろん「はい!」です。当初は食欲減退色がパッケージに使われており、商品名は「焼肉のたれ」と、どストレート。結果、全然売れないと。
ネーミング変更のヒントとなったのが、なぜ焼肉のタレをつくるようになったのか、というこちらの問いに対しての「孫が『今夜は焼肉じゃ。ばあちゃんの美味しいタレで』と言ってくれるから」というその言葉でした。「今夜は焼肉じゃ」は語りかけ口調です。これが良いんですよね。商品名の由来についてお客様に質問されたら、先程のエピソードをお伝えすればバッチリです。
焼肉のタレと言わなくても、商品名で伝わります。有名な海苔の佃煮も、海苔の佃煮とは商品名でうたっていませんよね。でも何なのかは伝わります。
パッケージも温かみを感じるデザインに変更し、おばぁちゃんの仲間に聞いてみたところ、みんな「美味しそう」という反応をくださいました。
それまでどのように思ってたんだろう、とふと感じましたが。(笑)ちなみに、売上は8倍になりました。

R:その直後にデザインができる人財がご入社されて、と伺いましたが、パッケージマーケティングを強化されることをお決めのうえでの採用だったのでしょうか?

M:たまたまなんですよね、これが。元々は弊社の取引先にいた人間なんです。チラシを広告制作する会社でした。私のブログを見て、面白い、と連絡をくれたんです。当時、お互いエクスマ(エクスペリエンスマーケティング)を学んでおり、なんかあれば、外注するね、なんて話をしていました。記憶に鮮明に残っているのが、協業した「阿波ういろ」という商品のデザインコンペですね、弊社に入社する前の話です。
「捨てられない紙箱」がテーマだったのですが、色々と話し合いをする中で、彼が言ったのが「捨てられないなら缶じゃないか」ということだったんです。だったら缶でいこう、と私が言うと、彼は驚いていましたね。それまで彼のいた会社が、キッチリと決められたことをやる、という社風だったので、
自分のアイデアが認められる、ということが新鮮だったのかもしれません。いざ当日、プレゼンをすると、審査員全員が感心しているように見えました。
よし、やってやったぞ、と。しかし、後日届いた結果は「不採用」。理由は「紙箱じゃなかったから」。そりゃそうですよね・・・。

R:その後、そのままご入社をされた?

M:そうではないんですよ、当時すでに大阪の会社に引き抜かれる話が進んでいたようだったのですが、
私と仕事をしていた時が本当に楽しかったようで、大阪の会社への回答期日に電話が来ました。うちに来れるものなら来たい、と。ただ、私は少し人間関係で悩んでおり、一度お断りしよう、と考えていたのですが、結果的にそのまま入社することになりました。
デザインできる人間が入ったことは大きかったですね。最初に手掛けたのが、「ひじき」のパッケージリニューアルでした。元々は、どシンプルに「ひじき」とだけ書かれており、購買意欲には結びつきづらかったんです。パッケージを見てもどのように使えるのかが分からなかったんですよね。
そのときに着目したのが生産地でした。国内産という表現がなされているひじきはあれど、徳島産、という表現をされているものはありませんでした。
また、レシピ集なども裏面に掲載して、何に使えるのか、ということがお客様に伝わりやすいようにしました。スーパー21店舗への導入はすぐに決まりました。
さらに、その先がありまして、なんと道の駅や土産屋でも置いてくれたんですよ。徳島産、という表現がポイントとなり、「徳島土産」として認知をしてくれたみたいなんですよね。
国産という表現をしていたら、おそらくはその話はなかったと思いますね。

パッケージとSDGsの関係

R:産地の表現1つでも、可能性が拡がるんですね、パッケージは改めて奥深いですね。
お土産の裏面をはがきにするなどのアイデアもそうですが、そのインスピレーションはどこから生まれているのでしょうか?

M:これは実はすでにアイデアとしてはあったんですよね、郵便局の「キットメール」がヒントです。いつか使おう使おう、と温めていたものでした。
その後、様々な引き合いがありまして、少し変わり種で言うと、送料を抑えたいというアロマ商品を販売する企業様に、宛名を書くための場所として裏面を提案差し上げました。
それまで500円くらいかかっていた送料が140円くらいになったので、パッケージに工夫を施すだけで、送料が72%も削減できちゃいました。
インスピレーションという点で言うと、スーパーやお土産屋さんにおいてある商品から学ぶことも多いですね。ある時、徳島ラーメンについて徹底的に調べている際に、平日の昼間に売り場の商品を端から端までチェックしていました。どう考えても怪しいということで、お店の方から声をかけられた、なんてこともありました。。。

R:私が店員さんだったとしてもおそらく声をかけますね。。。
少し話は変わりますが、毎日更新されているブログもすごいですね!あのクオリティで毎日は。。。
どれくらいの時間をかけられているのですか?

M:ありがとうございます。書くことが決まっているときには30分くらいで書けますね。学んだ理論をベースに書いています。ただ、時間がかかるときには1本書くのに2時間くらいかかることもありますね。
常に、ネタを探すようにはしています。話題のストックも必要ですからね。

R:自分も記事を毎日書いていた時期があるので、非常に分かります。
松浦さんがお仕事をされるうえで、大事にされている考え方などはおありでしょうか。
消費者志向自主宣言などを拝見させていただき、感銘を受けました。

M:個人としての座右の銘がありまして「学ぶって楽しい、働くって幸せ、人生はエンターテインメントだ」です。1人の成長が1人を喜ばせ、もっと成長したいと思う気持ちが次の喜びにつながり、それがらせんのようにつながっていく、そんな人生って、エンターテインメントだと思うんです!
SDGsでいうと、うちは、目標8番の「働きがいも経済成長も」をメインターゲットにしています。
パッケージというと、つい脱プラなどの方向に話がいきがちなんですが、「パッケージを変えることで、売上が上がり、経済発展にもつながり、それが働きがいにもつながる」、そこにコミットしたいんです。
消費者志向自主宣言については、自由度も高いですし、当初はポーズ的な側面もありましたが、弊社の社員からのしっかり取り組みたい、という声を受けて、ギアを上げましたね。

R:パッケージ×SDGsというと、素材等のことなどをイメージしておりましたが、いい意味で予想をかなり裏切られました。

M:もちろん、目標12番の「つくる責任、つかう責任」も大事なことはいうまでもありませんが。その文脈でいうと、リサイクル技術などの技術革新も重要になりますね。
例えば、野菜などのパッケージなどは単一素材でリサイクルしやすいのですが、ポテトチップスなどのパッケージは外と内で素材が異なるため、リサイクルが難しいというようなことがあるんですよね。そのような課題がクリアできれば、プラスチックというのは機能面から見ても非常に便利な物質です。

R:最後に、パッケージ松浦様を○○業と表現するとすると何業になりますでしょうか?
また、パッケージマーケッター®松浦さんにとってパッケージとは?

M:パッケージマーケティング業です。それは商品を売れるようにする、ブランド力を高める、ということを意味します。パッケージとは商品に命を宿すものなんですよね。風呂敷の発想です。風呂敷に包んで結ぶということは、新しい生命が生まれるということを意味を内包しています。
包という漢字は元々、「お母さんのお腹にいる赤ちゃん」という形を文字にしたものなんです。
我々も、商品をそれと一心同体となるようなパッケージで包み込んで、新しい生命を生み出し続ける存在であり続けます。そして、お客様の経済発展、さらには、そこで働く従業員の方々の働きがいにつなげていきます。

(編集後記)
終始、様々な商品パッケージを見せていただきながらインタビューにご回答いただけました。
百発百中はすごいですよね、ただ、実際のパッケージを見せていただくと、そのとおりだ、と感じました。
日々過ごす中での目線を1ついただきました。
パッケージが良くなり、売れ残り等が減ることでフードロスの削減などにもつながります。
途中、従業員の方に松浦さんが社内において、どのような存在か、と聴いた際には、
笑いも溢れて、普段の様子が垣間見えました。
みなさんも、つい買ってしまう商品、それはパッケージのパワーかもしれませんよ!