着物アップサイクルブランド【あきざくら】 の山村さん~日本の伝統・文化に『調和』を取り戻す~

着物アップサイクルブランド【あきざくら】 の山村さん~日本の伝統・文化に『調和』を取り戻す~

今回は、着物アップサイクルブランド【あきざくら】 の
創業者である山村さんに お話をうかがいました。

このインタビューの少し前に
日本経済新聞の夕刊1面に掲載されたアップサイクルの記事にも
「あきざくら」の名前がありました、

お話するのは、数年前にお会いして以来で
当時から進化をし続けている山村さんから
様々なお話をお聞かせいただきました

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R:簡単な自己紹介をお願いします

Y:「あきざくら」の山村ともうします。
2017年4月から事業を開始しています。
やっていることは着物のアップサイクルとして、
傘や扇子を職人の手仕事で制作し販売しています。

R:日経への掲載おめでとうございます! 反響はいかがですか?

Y:2021年10月2日の夕刊1面に掲載いただきました。
反響はやはりありますね。
ご注文のお問い合わせを頂いたり、
SDGsや他の分野でアップサイクルを考えている方から
問い合わせ頂いたりしています。
以前、取材いただいた際にも、
時間差も含めて 多くの反響をいただきました。

R:今の事業を始められたきっかけは?

Y:2016年頃に、
所属していたコミュニティで信じていた人に裏切られたり、
心ない言葉を浴びせられたりして、
「この世の終わり」のようなメンタリティになっていました。
その時期にふと周りを見ると、
電車では妊婦さんに対しても誰を席を譲らない、
など「自分さえよければ良い」「他人に対して無関心」
という光景を目の当たりにし、
もしかすると、 所属していたコミュニティだけでなく、
日本全体、あまり変わらない状態なのではないか、と感じました。
で、あれば、自分が日本を変えたい、
日本の美点である『調和』を取り戻したい、
そう感じたことをきっかけに、動き始めました。

R:最初から着物のアップサイクルでお考えだったのですか?

Y:私は学生時代日本史を専攻しており、
例えば、スウェーデンの医師であるC・P・ツュンベリー(1743-1828)が
『江戸参府随行記』にて「日本ほど放埒なことが少ない国は、他にはほとんどない」
と記録しているぐらい、江戸時代は調和が保たれていたことから、
日本の伝統・文化に『調和』を取り戻すヒントがあると思い模索していました。
その中 で 着物を着る機会があり、着物を着ると、所作や言葉遣いが変わるなど、
そのパワーを感じることがありました、
かつて着物は何度も洗い張りをして仕立て直ししたり、
着物として着れなくなったら 子供の遊び着や下駄の鼻緒などにお直ししたり
と長く大事に使われていたモノだったんです。
私は、この「ものを大切にする」という古き良き日本の考え方は
とても重要だと思っています。
「モノを大切にする」とは
=「モノの背景にいる人を大切にする」「モノの所有者である自分を大切にする」
につながります。ここにアプローチすることで、
日本の調和が取り戻せるのではないかと考えました。

そこで着物を使って何かやりたい、
と考えるようになり、知人に相談したところ
着物をリメイクしてベトナムのアオザイにしてベトナムで売ってはどうか、
となりました。 さらに考える中でアオザイではなく
傘というアイテムがピンときた、というのが、あきざくらの始まりです

R:すぐに傘をつくれる体制はできたのでしょうか

Y:幸運にも力を貸してくれる傘職人さんが2日ほどで見つかりました、
が簡単に見つかったわけではありません。
日本洋傘協会というところに連絡を入れ、
傘をつくってくれそうな 所を教えていただき商談しに行ったのですが、
行けども行けどもロット1000本でないと受けれないなどと言われ、
断られ 他の工房を紹介してもらえるものの同じ断り文句を言われが続き、
たらいまわし状態でした、
2日間走り回ってやっと1本からの制作を引き受けてくれる
職人さんは見つかったものの最初はあまりいい顔はされませんでした
と言いますのも、
お客様のお着物をからの傘制作は替えがきかないため絶対に失敗できないものの、
着物は1つ1つ縦横斜めの伸縮が違くミリ単位で裁断や縫製を調整する必要があり、
高い技術を要し、緊張を強いるものであったからです 。
ちなみに今は、コミュニケーションをしっかりとってきたこともあり、
職人さんもやりがいを持って快く引き受けて下さっています。

R:事業を行う上で、大事にされているお考えなどあればお教えください!

Y:自分の感性を信じるようにしています、今の時代正解はありませんから。
感性を磨くために新しモノには触れるようにしています。最新のテクノロジーなど。
また、 美術館にいってみたり、小説を読んだりします。
そうすることで、自分の中に様々なピースが生まれます。
それを1つの絵にしていくのが楽しみです。

R:コロナの影響はおありだったりされましたでしょうか

Y:2020年3月を最後に海外に行けなくなったことは大きかったです。
アクセラレータプログラムきっかけで、シンガポールにはよく行っておりました、
既成品の販売や着物の着付けを通じて、
日本人の精神性を伝える取り組みをしていました。
ステイホームで断捨離も進んだことから、
国内でのお問い合わせは増えましたね、

R:事業を進める中でお気づきになられたこと、
お感じになられたことはなんでしょうか?

Y:職人さんへの想いですね、日本の職人さんの地位が危うくなっています。
職人さんが減っている大きな理由として収入面があります。
女性職人さんは多少増えているのですが、
それは家族を養う必要がある男性と違って、扶養の範囲内で稼げて、
かつモノづくりを極めたい女性の仕事として人気があるといった理由があります。
あきざくらを通じて想いを持ってやっている職人さんが稼げる社会になり、
日本の職人の地位を上げて、人気の職業にしたいです。

職人さんとのコミュニケーションで意識していることは、
お客様からの声を職人さんに届ける、ということです。
職人さんにとってやりがいにつながると思っています。

R:これまでで一番のお気に入りのアイテムはなんでしょうか?

Y:一番と聞かれると答えられないですね。どれも愛おしいです。
その中でも、印象に強く残るのは、新聞やネット記事などの取材のタイミングで制作しており、
ライターさんがお客様からお着物やご家族の思い出を
細かくヒアリングしてくれたアイテムです。
わざわざ亡きお母様、お祖母様が着物として着ていた写真も
ご用意した上で話して下さるので、お客様の温かい想いも含めて印象に残っています。

R:事業を行っていて、嬉しい瞬間は? 顧客層は何歳くらいの方が多いんですか?

Y:お客様が完成した着物傘を手にして喜んで下さるのはもちろん嬉しいのですが、
それ以上に、傘が完成するまでの体験や、完成した着物傘を使う中で、
お客様自身が素敵に変化するのを見るのがとても嬉しいです。
あきざくらの傘を使うお客様が言われる言葉に 「傘に見合う自分になる」
というものがあります、
お母様やお祖母様が大切にされてきたお着物を熟練の職人の手で傘に仕立てる。
その傘に相応しい自分になるように自分を律して高める、
最初にお伝えした着物のパワーをあきざくらの傘でも
受け取ってくれているのかもしれません、
層としては、30~50歳代の方が多いです。

最近は、自分の知らないところで、
あきざくらの紹介をどなたかがしてくださり、
ご依頼をいただくという事も増えてきました。

R:お客様からはどういった声を聞かれることが多いですか?

Y:着物から傘を作られた方は、
「おばぁちゃんと一緒に歩いている気がする」 とおっしゃられたり、
「着物が生まれ変わったのと一緒に、素敵な傘を持って自分も生まれ変わったように感じます。」
と おっしゃられる方もいます。

R:国内外でそれぞれ、お客様の反応はいかがでしょうか?

Y:国内共に「美しい!」という反応を頂きます。
国内は、古き良きものを残せるという点で共感頂くことが多いですが、
海外の方は、日本の文化への興味や、
新しいものに触れるというという楽しさを感じて頂きます。
で、販売していると、梅や菊など着物の文様の意味などを質問されたりします。

R:アップサイクルやリメイクも増えつつありますが、
横のつながりなどはあるのでしょうか?

Y:着物から何か制作している方々とのつながりはできましたね、
バックやお洋服、作務衣にテディベアなど様々です。
お客様のご要望に応じて、それらの方々に制作をお願いすることもあります。

R:地球温暖化など、環境問題についてのお考えなどあればお教えください!

 Y:「自然をリスペクトする」「万物を愛する」という、
古き良き日本の精神性が取り戻せれば、
これらの問題解決のために世界の中でリーダーシップを
とることができると考えています。
そのためにも、あきざくらが様々な発信をしていく必要があると考えています。

R:2030年はどのような時代になっているでしょうか?

Y:現在あきざくらは、「人の精神性・意識」という観点で活動に取り組んでいますが、
今問題となっている、食品ロスや不良在庫などは、
AIが発展し人の意識に関係なく適正な生産量となり、
無駄なモノがつくられなくなる時代になるとは思っています。

職人さんでいうと、AIの発展で機械化は更に進む中、
残念ながらただ作業として手を動かしている職人は淘汰され、
本当に好きで想いを持ってやっている職人が、
その想いに共感する人がそのアイテムを欲しがり残っていくのではと思っています。

R:価格もお客様がお決めになられる日が来るかもしれませんね

R:今後の野望についてお教えください!

Y:世界に影響を与えられることがしたい、という想いがあります、
テクノロジーを活用したり、傘を実用的なものではなく、
1つのアートの要素として活用し、今までになかったコンテンツを作りたいと思っています。
プロジェクションマッピングやインスタレーションアートとか、
色々リサーチしている段階です。まだ、どういう形になるのが自分自身も分かっていませんが、
もう少し時間が経てば それが分かってきそうな感覚があります。

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久しぶりにお会いさせていただいた山村さんは、 穏やかに見えて、
心の奥底には火傷しそうなくらい 熱い夢をお持ちでした!
「あきざくら」は最初のステップとして形になり、
山村さんが出す、次の答えに今からワクワクします!
大きな画がどんな画なのか、楽しみです!!!