前編では、福島さんのこれまでの人生から
今に至るまでの経緯、
NOMADの宿としての在り方について
お話を聴かせていただきました。
後編では、コロナ禍での変化や
サーキュラータウンを目指す白馬においての
NOMADさんの目指すところについて、
お話をうかがいます。
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~NOMADさんHP~
~NOMADについて~
あてもなく常に移動してるイメージの遊牧民(Nomad)。
でも実際はそれぞれの季節に応じたお気に入りの住処があり、
毎年その場所近くに戻るのだそうです。
Nomad Hakubaもお客様に毎年戻って来てもらえるお気に入りの住処になれるよう、
心の休まるくつろいだ空間を提供してまいります。
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R:REUSED
N:NOMAD福島さん
『オリンピックは見る物では無く、目標として目指す物』
R:コロナの影響はどうたったのでしょうか。
N:インバウンドのお客様が入国出来なくなり、売上でいうと3分の2なくなりました。
業態の変化を余儀なくされましたね。業態の変化については仕事の効率化、
経費を削減するということがやはり大事になってくると最初考えていたのですが、
単に節約、倹約をしたりしサービスの内容を低くするという事では無く、
逆にこのチャンスに経費の削減だけではなくお客様へのサービスの向上、
滞在中の快適性の向上が出来ないかと考えその方法としてエネルギーの効率的な使用方法への変更や、
エネルギーの元となる物を変更する事によるコストの削減に最近は興味があります。
R:具体的にされている取り組みなどはおありなんでしょうか。
N:エネルギーの効率的な使用方法とは断熱を例にとると、建物の断熱性能を現在の倍くらいあげることで冷房、
暖房のコストが半減できさらに建物内の温度変化が少なくなるので快適に滞在出来るようになるのでは?
R:エネルギーの元の変更という例についても教えてください!
N:エネルギーの種類の転換例としてはNOMADのお風呂やシャワー等のお湯は灯油で沸かしているのですが、
昨日灯油を買ったら1ℓ/113円でした。(2022年1月26日段階)
2,3年前は80円だったので2割増しの価格になってます。
これをもし、灯油から白馬で出る支障木や間伐材で作った薪で補えたとすると、
年間100万円以上のお湯を沸かすための原料コストが削減できます、
その削減できた費用を薪を作るための人件費にする事ができれば
今まで地球の裏側の産油国に貢いできたお金を白馬に還元できるようになります。
白馬に還元したお金により、仕事が出来れば、
今まで土地柄どうしても繁忙期の冬と夏にし短期でしか雇えなかったスタッフを通年で雇えるようになり、
継続で雇用できるとスタッフの教育が出来るようになり、サービスの質があがり、
お客様へ還元が出来さらに、毎年新しいスタッフを探す手間も教育コストも 下がります。
R:SDGsについてはどのように見ていらっしゃいますか?
N:SDGsについては、見せ方とかではなく、利益とつなげて考えてもいいと感じています。
コロナのおかげで、インバウンドが盛んで景気が絶好調の間では気付きにくかった
無駄が垂れ流しになっている状態を自分たちを見直すいいタイミングになりましたね。
先ほどの灯油の話なども経済が潤っているうちは考えなかったです。
相互補助の重要性も改めて感じました。白馬内では1人では生きていけません、
自分のビジネスさえしていればいい、という考え方の人には向かないかもしれませんね。
R:白馬村において、「長野五輪」とはどのようなものだったのでしょうか。
N:私は長野オリンピック当時は東京で小学生でしたので余り当時の事は良く知らないのですが
白馬村にきてビックリした事の一つとして『オリンピックは見る物では無く、目標として目指す物』であるという事でした。
地元の小学生たちの夢が『全国大会優勝』では無く『オリンピックで金メダル』なんです。
やはり身近にオリンピック選手やメダリストが普通にいる環境の白馬村ならではだと思います。
白馬を環境を学ぶ大きな教室に
R:第二回のGWHでワークショップの会場になったりもされていますが、
それ以降での変化(目に見えるもの、内面的なもの)などはありましたでしょうか。
横のつながりの濃さも感じましたが、新しい連携なども生まれたのでしょうか。
N:GWH以降でサスティナブルなアイテムを紹介する棚を作成して、
食品残渣でつくったブロックなどを展示するようにしま した。
この頃お客様に少しずつですが興味を示していただけるようになっています、
GWHで知り合った方から環境に関しての新しい技術や知識を知ることができとても良い刺激になりました。
白馬村内の人に関しても、お互いの新しい面を知ることができ、新鮮でしたね。
皆が僕をみる印象も少しは変わったと思います。
それまではどこの飲食店にでも出没する謎の酔っ払い、くらいに見られていたんじゃない ですかね(笑) まぁ間違ってはいないのですが、、、
GWH3を通してちょっとは頑張ってるじゃんと思われたんではと思いたいです
R:最近あった嬉しいことについてお教えください!
N:雪がたくさん降ったことです!僕が白馬で冬を過ごすようになって
この15、16年でベストの年な気がします。
コロナでなければお客様の量が大変なことになっていたんじゃないですか?(良い意味で)
今シーズンは雨が降っていないので雪が溶けないんです。
ここ10年で厳冬期でも普通に雨が降るようになり、年によっては雪が少なすぎて
スキー場が全面開けない等かなりダメージを受けるようになりましたからね。
パウダースノーはお金ではつくれませんし、とても大きな価値があるんですね、
つい先日も常連のオーストラリア人がメールをしてきてコロナ過でまだ旅行には来れないだろうに、
2月の後半の予約をオファーしてきたりしましたね、雪はヒトの心を魅了しますよね。
R:NOMADさんを「〇〇業」と表現するとすると、何業になりますでしょうか。
N:『場』を提供する仕事だと思います。
どんなかというと普通に都会で生活しているだけでは会えなかった人同士が
NOMADで知り合い一期一会を楽しめる場を、人と人とのつながりを白馬という
豊富な自然環境(景色、雪、山、湖、川)と
多様性(色々な国籍のお客様、村民、様々なアウトドアアクティビティ、
多国籍なレストラン、サービス)のある村でこそ出来る『場』を提供する仕事だと思っております。
R:2030年に向けて、HAKUBA CIRCULAR VISIONが掲げられましたが、
NOMADさんとして、2030年どのような状態になっていたいでしょうか、
そのためにこれからどのようなことに取り組まれますでしょうか?
N:都会で普通に生活していると気付きにくい環境問題を白馬の自然と多様性からくる
最先端の技術、考え方とミックスした事を肌で感じ、体験し、学べる場所にしたいです。
白馬全体を環境を学ぶ大きな教室みたいな感じですかね?
これからは経済性、集客性をもとめるなら、
観光と環境をマッチさせる事が白馬の将来性を高めてくれると思っています。
山の景観、湖のきれいさ、目の前のものを自分たちで感じる。それを考えられる『場』になれば嬉しいです。
N:そうそう、言い忘れましたが、GWHに参加されていたような環境意識の高い人と
いわゆるリゾートバイトに来てくれた若者との接点が現状では少ないので
せっかく白馬を好きになってくれた人同士の交流の場を、
みんなが自分のすきな場所の事を大事にして行けるような村よりなって行って欲しいですね 。