~アートを待ち合わせ場所に~自分と向き合う機会を創造する「花とモノクロの絵師」のそういちろうさんに話を聴いみてた

~アートを待ち合わせ場所に~自分と向き合う機会を創造する「花とモノクロの絵師」のそういちろうさんに話を聴いみてた

今回インタビューをさせていただいた、そういちろうさんとは、品川のコクヨさんで開催されました100人会議というところでご一緒させていただいたことが出会いのきっかけです、

その時にとても面白い方だなということで連絡先を交換し、後日1on1でお話の機会をいただき、想像通りの素敵な方ということで、今回取材も依頼させていただきました。

オフィシャルHP

東京で活躍するペイントアーティスト「Fleurbrahman Art」。世界にささやかな感動を届けます。花を作品の軸に置き、生命の美しさや強さを表現します。作品…
www.fleurbrahman-art.com

S:そういちろうさん
R:REUSED

自分と向き合うきっかけづくりを

R:まずは自己紹介と今お取り組みされている事業の内容についてお教えください!

S:そういちろう、という名前で活動しています。肩書は花とモノクロの絵師です。と普段は自己紹介しますね。花をまとった人や動物などをモノクロの点描画で描いています。私は大学から美術に関わってきた、などではなく理系の高専で元々は英語とプログラミングを学んでいました。それを活かして上京し就職したわけですが、サラリーマンとして働く中でこう生きていたいというイメージと現実のギャップが非常に大きく情熱的に生きられていないことに嫌気がさし、情熱をかけられるものを探した結果アートに行き着きました。アートに行き着くまでには3年ほどかかりました。情熱をかけられるものを探索する中でまず始めたのがボルダリングでしたが一瞬で「違う」となったり、音楽を創ったり、洋服のリメイクをしてみたりと色々なことを行っていくうちにクリエイティブ関係が好きだということに気が付きました。画は自分自身の心の整理にもつながり、人にプレゼントすると喜ばれもしました。心が豊かになりますし、誰かの役に立てているという実感もあります。生活において自分と向き合うことをしている人は多くないと感じており、なんとなくで日々を過ごしている人も多い。そのような人たちに自分と向き合うきっかけづくりがしたいんです。

今、実際に情熱を傾けていることは大きく3つあります。
①日本での活動②海外での活動③NPOなかよし学園プロジェクトがその3つです。

①日本での活動については、教育✕アートでの3rdプレイスづくりで、学校にいけなくなった子供、自らの意思で意図的に学校に行かなくなった子供の居場所づくりです。アート思考を取り入れたワークショップなどを通じて自分と向き合う力を養ってもらっています。もちろん作品制作もしています。

②海外では大きな事をするということを意識していまして、自分の人生をどう華やかせるか、どのように感動を届けるか、それを叶えるための方法として、NYのタイムズスクウェアやパリでの作品展示を行ってきました。私の画を見て人が喜んでくれまし、ベネフィットが分かりやすく提供できます。来年にパリのJAPAN EXPOで知人の書道家さんや音楽家などと共にライブペイントを行う予定です。大きなところで大きな事をすることで、1人でも多くの方に感動を届けたいと考えています。

③NPOについてですが、中村雄一さんという方が代表をしておられ、海外の貧困に苦しむ国に教育などを届けています。教育から文化が生まれ、一体感にもつながるわけですが、教育がないことで文化も一体感も生まれない。例えば、ミュージカルでも役者+音があることで、見る側の心に届きやすくなります。私の場合はアートという形で教育を必要な方々の基へ届けやすくするためのお手伝いをしています。国連でのスピーチに合わせて作品(画)を横に置く、などの取り組みも行ってきました。言葉での説明はとても難しいのですが、リアルな画は心に響きやすいんです。

R:以前お話をさせていただく中で、アートを待ち合わせ場所に、というお言葉が
とても印象的でした。その意味合いについてお教えください!

S:自分の探しているもの、悩んでいることについて、答えを自分の心を通さず求めることってありますよね。また、良し悪しを判断する際に外的要因、分かりやすくいうと誰が言っているかの影響を受けてしまう。声の大きい人の意見を自分にとっての正解のように受け止めてしまう。それが正解の全てではないんですよね。自分の心に響くものが本当の正解であり想いが大事だと思うんです。
自分の人生の正解は自分に矢を向けてとことん考えて出したモノが最善。心を豊かにするためには自分の考えを蔑ろにしてはいけません。自分に矢を向ける時間をどのようにつくるか、自分と向き合い、1度立ち止まって振り返る時間を生み出すためにアートを活かしたい、アートを見ることで何もしない時間をつくってほしい、自分自身の体験を多くの人にも体験してほしいというのが、アートを待ち合わせ場所に、に込めた意図です。

美術館に行かないとアートが見れない、ではなくて、例えば渋谷のハチ公の側にアートがあれば待ち合わせの時間でも自分と向き合う時間を作れます。映えスポットにしたいなどではなく、あくまで待ち合わせ場所であり、短時間でも自分と向き合うことができるきっかけづくりに待ち合わせ場所がなる、という位置づけです。なんとなく各自が自分自身の心を置き去りにしてしまっている印象があり、いわゆる虚無感を抱える若者も話していると少なくありません。もっと自分の心を大事にしてほしいですね。ここにおいては教育の影響も大きいと考えています。例えば、本来数値で評価することが難しいはずの科目も数値で相対評価をされてしまう。そこから開放してあげるだけでとんでもない才能を発揮する子供も見てきました。好きなものを突き詰めるパワーってすごいですよね、その好きに気づくきっかけづくりもとても大事です。

見る人の数だけ正解がある

R:また、そういちろうさんが書かれている画が白黒である理由についても重ねてお教えください!

S:人は正解を求めすぎている、という話にもつながるのですが、私にとってカラフルなものはある種の正解になってしまいます。例えば、花に赤色で着色してしまうと1つの正解になってしまう。私が大事にしているのが、「問をおいてあげる」ということで、モノクロの花の画を前にすると、人はどんな色だろうかと様々に想像します。それで良いんです。どんな色か、どう感じたか、見る人の数だけ正解があります。現在、ノンバーバルの絵本も描いていまして、読み手の数だけ物語が生まれるようになっています。

画を描く際にに何か降りてくるんですか?と聞かれることもよくありますが、私は降りてくるという感覚は1度も経験したことがなく、エクセルなどを活用して、テーマ、意図、モチーフ、発信場所などを可視化させます。すると描くモノのイメージが湧いてくるんです。

なぜ花を取り入れているか、という点については岡本太郎さんの書籍の中のエピソードが基になっています。岡本太郎さんの苦しい時期を救った一輪の花のエピソードにインスピレーションを得ました。自分の画が人の心にグッとくるようなものになればいいなと。

点描画のスタイルをとっているのも意図があります。フラクタルという言葉をご存知でしょうか?雪の結晶はあの美しい幾何学的な同じ形がいくつも連なり重なって私たちの目には一塊の雪と認識できます。また、我々の身体も然りですね。何兆個もの同じような形の丸い細胞がいくつも連なって重なって1つの存在となっています。近くで見た時の印象と遠くで見た時の印象が同じものなのに違って感じるのは面白いなと。私の絵も近くで見ると1つの点ですが、遠くで見ると動物になっています。

想いを表現するというのは私にとって最も重要なことで、伝えたいことも一貫しています。無常観も大事にしていますね。

R:そういちろうさんの行動の原動力や最近あった嬉しかったことについてもお教えください!

S:嬉しかったことは子供から言われた「普段、友達からからかわれて図工の時間に出られなくなったが、ワークショップを通じてモノづくりも楽しくなり、空も美しく感じられるようになりました」という言葉と、
最近でいうと、パリのJAPANエキスポへの参加が決まったことですね。一般的な生活をしているとなかなか機会もないと思われますので。さらに、自分が応援したい人が増えていること、感謝される量がとんでもなく増えてきていること、1日1回は幸せだと感じることができる瞬間があること、人に感謝され、心が豊かになるだけで十分ですね。

R:昨今、ビジネスシーンにおいてもアートが注目されていますが、
活動をされている中で、そのような世の中の変化についてお感じになられることはおありでしょうか。

S:私見という前提になりますが、アートとの関わり合い方は2極に分かれる印象をもっています。「大事にしている層」と「分からない層」。アート思考の方は世のため人のために、というマインドが強く、応援され、より大きな事業展開にもつながっていくのではなかと思っています。お金や時間などももちろん必要ではありますが、それだけでは差は生まれないのかなと。

少し話はそれますが、海外でのビジネスシーンにおいては、どんなアートが好きか、というところから会話が始まることもあります。論理的に、かつ情熱的に好きなアートについて話をできることは魅力にもつながります。文化の異なる方々とのコミュニケーションにおいてもアートは有用です。

R:そういちろうさんにとってアートとは何か?何を大切にしておられるのか?
そして、今後の野望についてもお教えください!

S:アートとは、自分の人生をどう過ごしたいか=感動を届けたい(自身のあり方)。そのためのツールであり、一生抱きしめたいツールでもあります。この人のためになりたい、という人をどれだけ周囲につくれるか、それだけで自分の人生は輝くと考えています。それが実現できればお金や影響力はあとでついてきます。ペイフォワードの考え方が自身とても好きで、1人は3人に親切な行為を行い、その3人それぞれにも3人に親切な行為を行ってもらい、さらに、、、という具合に。

また、最近もっと願望を広げようと思うようになってきました。やりたいことのスケールを大きくしよう。と。例えばですが、アートの村を実際につくって、絵本の世界感を再現した家を立ててリアルな3rdプレイスにする、など。思えば、アーティストとしての最初の目標は森ビルで個展をする、というものでしたね。

現在の活動の部分でNPOのことをお話させていただきましたが、世界の情勢を伝えるなどもアートの役割であると考えていますので、アートを通じて、世界の人々の選択肢を増やしていくことも実現したいことですね。