エンタメを消費されるだけではなく社会を前進させるために活かす!エムむすびの徳村さんに話を聴いてみた

エンタメを消費されるだけではなく社会を前進させるために活かす!エムむすびの徳村さんに話を聴いてみた

今回取材をさせていただいたエムむすびの徳村さんとは、知人からの紹介でつながりが生まれ、私が進めようと考えている事業との親和性も高く、お話をさせていただく中でただただ共感ばかり!改めて、徳村さんのこれまでとこれからについてインタビューをさせていただきました。品川で2024年10月5日にイベントも主催されるバイタリティあふれる徳村さんとの対話を是非お楽しみにください!

エムむすびさんHP

10月5日開催されるスマイルDISCO

T.徳村さん
R.REUSED

消費だけではないエンタメの可能性を

R.まずは自己紹介と今お取り組みされている事業の内容についてお教えください!
始められた経緯についてもお聞かせくださいませ!

T.私は子どものときから音楽に触れていて、中学生の頃には作曲家になりたいと考えるようになっていました。うちの母親が保母さんをしており、家にはピアノがありましたし、フルートやバイオリン、声楽など音楽には様々な形で関わってきました。上場企業の中で作曲に関わるようになるまでにも実は紆余曲折がありまして、最初に就職した会社は就職氷河期で音楽関連での採用は1名ととても狭き門で、その狭き門を無事に突破したのですが、営業の仕事をすることになり、営業で実績を残し続けたところ音楽の仕事が近づくどころか遠ざかり、そこで転職をして上場企業内でようやく希望の仕事をすることができるようになりました。自分自身がつくった音楽が世の中にも評価され、着メロで1位になったりもしましたね。しかし、仕事をしている中で商業用の消費される音楽ではなくて、人の健康にもつながるような音楽をつくれないかと、そこで当時はまだ世の中にあまり浸透していなかった音楽療法を文献なども集めて独学していました。そして、30代なかばだったでしょうか、引きこもりの子どもの支援を音楽を通じて行うことを検討している中で、全国認知症ネットワークとの出会いがあり、介護に関する現場や予防に関する勉強会に参加しました。そこで知ることとなったのが、本当に困っている人は余裕がないこと、ボランティア感覚の上から目線などとんでもなく、当事者とそうではない人との間にある壁が気になりました。当事者ではない側からもっとのその壁を壊しにいかなくてはならないと。当事者もそうでない方も手を取り合って協力しあえる社会を創りたい、そう思ったんです。私も祖母がまだ痴呆と言われている時代にその症状が出たことを経験しているので、当事者の方の気持ちも自分なりにわかります。ただし、そのような経験がない方にはなかなか分かりません。認知症のことを皆がもっと理解し、助け合える社会をつくるために認知症予防教室の講師をするなどの活動もしています。

R.事業をしておられる中でお感じになられる課題感などはありますでしょうか?また、事業を始められてから気づいたことなどはおありでしたでしょうか?

T.事業において課題として感じることとしては、高齢者をターゲットにしている中では告知がネットなどではうまくいかないということ。引きこもり気味の方にどのように情報を届けることができるか、例えばチラシを配布しても見てもらえているかは掴みきれておりません。認知症という言葉を出すと、親が心配になってきたという人もいれば、まだ結構です、という人も居て、さらに高齢者ご本人に関しては、気をつけないとね、という反応もあればデリケートになっている方もおられます。また、自分は大丈夫という理由で男性の参加率がまだ低く、男性の参加率をいかに引き上げるかもポイントですね。女性の参加が多いんですよね。男性が少ない理由としては地域のイベントの場合、女性中心というイメージが有り輪に入りにくいという印象をお持ちということもあるようです。男性の方が健康寿命が短いとも言われていますので、軽い運動を通じて身体機能を見直すきっかけにしてほしいのですが。エムむすびの活動については、各自が社会人として働きながらボランティアとして協力しあっています。普段の仕事だとなかなか親しくはなれないであろう方々と同じ社会課題に対して取り組むことができることはとても嬉しいことです。それぞれの経験や知識を掛け算して課題解決に向き合うことは自分自身の人生をとても豊かにしてくれており、誇りにもなっています。活動を続ける中で話を聴いていただける機会も増えてきました。日本のボランティア活動を俯瞰してみると、子どもや女性を守る、などの団体はとても多いですし、やりたいという女性も多いです。それもそれでもちろん大事です。その一方で、高齢者はこれからどんどん増えていくわけですが、数が足りていません。高齢者と言っても大人だから、という見られ方をされることもあります。社会とのつながりがなくなると本人もそうですし、結果的に社会も困ります。皆が街の仲間としてともに過ごすことができる社会を創りたい。なかなか外に出ることがない方々にも情報を知っていただくために口コミが届くようになど、様々な仕掛けを打っています。

昭和の音楽バラエティを再現した参加型イベント

R.これまでの事業の中で印象的だった出来事などお教えください!お客さんからいただいた声などもよろしければ。

T.双方に該当するところとなりますが、このところ開催しているのが、昭和ミュージックフェスタなるイベントで、音楽ライブ・コンサートです。そこでは懐かしい音楽を聴くだけではなく、踊ってもらいます。身体を動かすという能動的なアクションを含めることで、音楽を聴くという受動的な行動についても、ただ音楽を聴くだけとは違った楽しさを感じていただけるようになります。例えば、友達のライブに行って、曲の良し悪しも関係なく身体を動かしているうちになんとなく楽しくなり、どんな曲を聴いても楽しい。そんな感覚になったことがある方もおられるのではないでしょうか。それと同じような感じです。実際に参加された方からは、まさか踊らされるとは思っていなかったが面白かったという声もいただいています。踊りといっても激しいダンスのような踊りではなく、客席で手を振るなどです。皆でアクションをとると一体感も生まれます。かつ、身体を動かすことで血流も良くなり、休憩時間のおしゃべりも弾むんですね。ステージ上ではプロフェッショナルがうまい具合に先導してくれますので、毎回ほぼ皆様が参加してくださいます。良い方ばかりです。イベントの時間は前半1時間、後半1時間、間に休憩という具合で、昭和の音楽バラエティを見ているような気分になっていただくためにコントを盛り込んだり、コンサート後にお使いいただけるような手品のレクチャーを入れたりと、思わず口コミしたくなるような内容を意識しています。一人ひとりの方の発信の影響範囲はそこまで広くないかもしれませんが、色々な地域で仲良しさんをつくって、この輪を大きくしていきたいですね。コンサートはコンサートで完成度高く、それと同時に参加しやすい空気、このバランスがとても重要です。コンサートにも毎回課題はあります。歌手をイベントに呼ぶとファンは日本どこであっても来てくださいますが、ファン以外の各地域の皆様にももっと来ていただく必要があります。ファンの方も本当にすごいですよね。推しも健康維持のためにはとても良いことだと思います。老いの最初は興味がなくなることから、ということもありますし、常に熱を注げるものがあることは心身にとても良いと思います。毎回不安ではありますが、足踏みしているわけにはいきませんので、失敗してもいいから前に進もうというスタンスでやっています。介護予防に必要な、「動く」、「話す」、「趣味を持つ」、これらに役立てられれば嬉しいですね。

R.徳村さんのお考えになられるエンタメの可能性とは?徳村さんを動かす原動力が何か?についてもコメントをいただけますと幸いです!

T.エンタメ=芸能界というような括りではなく、能動的に人が楽しみたくなるモノを目指しています。自然と人を動かし続ける。良いことをやっているから、だけですとなかなか長続きしません。人を誘いたくなるようなコンテンツのそのものの面白さも大事だと考えています。公的機関主体でなされるイベントは硬くなりがちですが、気軽に、立場など関係なく本音で話せ、楽しめる場作りを目指しています。原動力の1つには私自身の怪我の経験もあるかもしれません。昨年に両足を骨折して、大変不自由な想いをしました。今も筋力などは戻りきっているは分かりません。痛切に健康で居続けることのありがたみが身にしみました。また、大きな原動力としてはご高齢の方と友達になれることが挙げられます。地域での活動を通じて接するととても癒やされます。大変な苦労のあった時代を生き抜いてきた方々の包容力は圧倒的で経験の厚みがまったく違いますね。悩んでいるといつも慰めてくださいます。こういうふうになりたいな、と感じさせられますね。そういう諸先輩とキャピキャピしたり、同年代ですとどうしてもマウントの取り合いのようなことがおきたりと難しい面もありますが、私のように年が離れていると接しやすいのかもしれませんね。高齢の方の居場所づくりであると同時に自分の居場所ができている実感も同時にあります。昨今、サードプレイスなどの言葉がありますが、活動を通じて全国いろんな地域に知り合いができて、行くと声をかけてもらえることがとても嬉しく、自分自身のバランスをニュートラルに戻す、心の整体をあちこちで受けている感覚です。事業においても、例えばあるお店に魅力的な店員さんがいれば、機能的に少々劣っていてもそこの商品を買おうという気持ちになることってあると思います。我々の取り組みにおいても、人と人との関係性は重視しています。稼ぐことも生きていくうえでは必要なことかもしれませんが、人生の豊かさについて考えた際に必ずしもそれだけではないと思います。共感者が得られ、尊敬に値する方々と出会えることは本当に人生を豊かにしてくれます。エムむすびの活動を通じて社会の一員としての自分を認識できるようになりました。ボランティアの活動は本業にも活きます。例えば、話し方や人との付き合い方など、ビジネスとは異なることに取り組んでみると本業にも活きる発想が生まれることもあるかもしれません。エムむすびは個性的でもあり、主体的でもある仲間が集まってくれていて本当にありがたいです。

R.SDGsのゴールが2030年といったんなっておりまして、2030年をどのような状態で迎えられるとハッピーでしょうか?今後も展望も合わせてお願いします!

T.SDGsについては、2030年にすべてのゴールが達成されるかというと疑問がありますが、誰一人取り残さないと言う事自体はそこで終わりではなく、今後も意識を向けていくべきところです。2030年で終わり、ではなく次の目標も見えている状態が望ましいですね。流行りとして捉えるのではなく、本質に目を向ける必要があります。自身の活動で言うと福祉になりますが、例えば体操教室を開催すればOKではなく、もっとも深く考えなくてはなりません。取り残されている人がどうすれば居なくなるのか。福祉と環境もつながっているところがあって、例えば介護の紙おむつは何トンもの廃棄物になります。それが不要な人を増やすことは環境にも良いわけです。手段が目的化しがちな領域ではないかと感じており、自分たち自身も気をつけていかなくてはならないなと。体操教室を否定しているわけではなく、それはそれで素晴らしい取り組みだと思いますが、それはあくまで手段であり、目的を考えた際に他にもやるべきことがないか、その視点が重要なのではないでしょうか。