ヴィンテージ北欧家具tanukiさんを訪ねてみた(後編)

ヴィンテージ北欧家具tanukiさんを訪ねてみた(後編)

▼前回のあらすじ

前回はtanukiさんの客層でしたり、
コロナでの業界的な変化や、
買い付けについて

お話を伺いました、

今回はサステナビリティについて
踏み込んだ話をさせていただきます

R:REUSED
T:tanuki

▼tanukiさんに聞いてみた

R:リアルな場の仕入ならではの、面白みって
どんなところにあるんですか、

T:状態が分かる、というのは大前提として、
たまに掘り出し物があるんですよね、
倉庫の奥底に実はよいものが潜んでいたり、
無名の作品でも良い家具を見つけられた時はうれしいですね。

R:ザ・バイヤーて感じすね、カッコいい・・・
勝手に恒例としております、SDGsトークしていいですか?

T:我々は、家具を輸入している立場で、
リユース自体は、再利用で、天然資源に対して優しい、
そのようにみられているかもしれません、
ただ、細かく見ていくと、輸入の際には重油を使用したり、
と流れを俯瞰してみた時に、総合的に見ると
どうなのだろう、と感じることもあります
もちろん、我々も北欧家具を扱う店としてのプライドもあり、
最高の状態で提供させていただくために、
サービスの向上を惜しまずに行っています、
ただ、今の地球環境について、考えた際に、
自社のサービスがどうなんだろう、という問いを立てることが
とても重要なことだと考えています。

R:確かにそうですね、SDGsもつい規模感が大きすぎて、
遠い話のように感じている人も少なくないかもしれません、
自社のサービスをシビアな目で客観視するというのは、
勇気がいることですが、素敵だと思います

T:とんでもないです、
実際に、最近は原材料でもあるチーク材の価格も上がっていますし、
素材確保は年々難しくなってきていると感じます
北欧ヴィンテージの中にも、当時は大量生産されたものも
あるかもしれませんが、貴重な天然資源を使って作られた商品を
使い捨てではなく、長く使い続ける、そのような文化の醸成に
我々は少しでもお役に立てればと考えています。
1人でも多くの方に、直して使う、相棒としての家具との付き合い方、
を楽しんでいただきたいですね。
我々が実用性にこだわる理由もそこにありますね、

R:豊かさとは、という問いにもつながりますね

T:デンマークに行くと、感じることは多いですよ、
例えば、自転車通勤している人が多く、自転車専用道路も
整備されている、都市のつくりがコンパクトなんですよね、
また、仕事よりプライベートを優先させたり、
風の強い日は通勤で使う橋が通行止めになるとまずいからと

仕事を休みにしちゃったり、16時には仕事を終わらせたり、
もちろん、皆がそういう形ではないですが、
環境先進国やサステナビリティって、自然のことだけではなくて
ヒトの心の在り方も指している気がします。
外面だけ、整えても、内面が伴わなければ
結果として、続かない気がしますね、

R:北島さんにとって、北欧家具とはなんですか?

T:生活を豊かにしてくれるもの。
物質的にも精神的にも、大量生産、大量消費とは対極に位置するもの
当時の量産品ではあるが、今はもう、つくられていない。
長く使えるものを手をかけて、受け継いで、使い続けていく、
先ほども述べましたが、まさに生活の相棒ですよね、キズさえも愛おしくなる。
生活を豊かに保つうえでは「余白」も大事だと思います。
皆、少しでも時間があれば、スマホを見て、となっていますが、
スマホは横において、のんびりした時間を過ごす、それも豊かさかなと、
それが先ほどお話させていただいた「心の在り方」ともつながってくるのかなと、

工業デザインって、よいものを手ごろな価格で提供し、
一般市民の生活を豊かにするために、創り上げられたものなんですよね、
もちろん、高価格帯で一級品の家具は一つの高みとして素晴らしさがあります、
が、私個人としては、多くの庶民の豊かな生活に貢献してきた
ウェグナーのYチェアなどにグッときます。

R:最後に10年後の野望を聞かせてください

T:今は北欧ヴィンテージを扱っていますが、
すでにある何かを活かす、ということにも関心があります
あとは脱炭素の文脈の中での地産地消、
活かす、というところでいうと、まだまだ家具業界全体で見ると
使い捨てのようなシーンが散在しています、
また地産地消についていうと、
我々の拠点の近くに林業が盛んな場所があるということをはじめ、
国内の木材にも関心があります、
ただ、まだまだ我々の北欧ヴィンテージ道もこれからですので、
精進し続けるとともに、その中で出てくる機会を捉えて、
あるものを活かす、という活動も少しずつでも進めていければと考えています。

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~いつもはワークショップの会場として
何気なく使用させていただいていたtanukiさん、
その成り立ちや、背景、北欧家具に対する想い、

そして、きれいごとだけでなく、
真摯に環境に対しての考えをお持ちだったり、

私自身、家具を相棒、
と捉えたことはこれまでなく、
新しいモノの見方を得ることができました、

需要増による相場の上昇には心が痛む部分もありますが、
北欧家具をはじめとする、純粋に良いモノを長く使う、
そのようなヒトが増えると日本人の幸福度も増すのかな、

そのように感じました、