UN理論、“恐れ”の少ない世の中を目指す、うんちマンさんに話を聴いてみた

UN理論、“恐れ”の少ない世の中を目指す、うんちマンさんに話を聴いてみた

今回は、博報堂さんの運営されているUoC(※1)のゼミをきっかけにご縁をいただいた、うんちマンさんに
インタビューをさせていただきました。メチャクチャすごい方なんですよね。

気になるところしかない、うんちマンさんのインタビューをお楽しみください。

U:うんちマンさん

R:REUSED

うんちマンはボーダーレス

R:かんたんなご自身の紹介と取り組まれていることについてお聞かせください。
うんちマンが生まれた経緯についても合わせてお教えいただけますと幸いです!

U:今は別の人間が代表をしていますが、元々はゲーム会社の経営をして、。長年に渡りゲームを作ってきました。その頃は日々仕事に忙殺されていたわけですが、事業上のあることをきっかけに、自分がこの会社の代表をしていることが、はたしてこの会社や働いてくれている人たちにとっていいことなのか?
また、これまで本当に自分がつくりたいゲームをつくってきたのか、と自問したところ、子どもの頃、うんちって言ってるだけでハッピーだったな~、とかよくよく考えるとその後もうんち好きだったな~、とか。
シンプルにうんちが好きだったということがきっかけとなりで、うんちのゲームをつくることにしたわけですね。会社の多くの人間からはダメ出しをくらいましたが、そこを押し切って開発を進めました。美少女ゲーム好きのプログラマーにはうんちなんか見たくもない、と嫌われながらも作成していました(笑)。
そんなことを周囲に言いふらしているうちに、誰もが知る有名なゲーム会社さんから出資をしていただくことになり、なんとかゲームが完成しました。


ただし、アップルさんには独自の判断基準によりNoと言われ、アンドロイドのみでの提供となりました。
ゲームローンチ前からこのゲームのことをアピールしたいと思い、まずは東京ゲームショウーのパーティーでアピールしようと、元々全身タイツ好きでたまたま家に黄色の全身タイツももっていたので、
会場のトイレで着替えて、うんち帽(うんち好きだったのでこれも持っていました)もかぶり、超ドキドキしながら出ていったところ、業界関係者から大絶賛されました。作品への熱量を感じていただけたようでした。


そのゲームは海外バージョンもリリースすることにしていたので、海外にも行きました。韓国、中国、ドイツのゲームショウーですね、一応クールジャパンの文脈で経産省から補助金なども出していただきました。
各地でゲーム以上にぼくうんちマンに人が寄ってきてくれました。皆、うんちが好きなんですね~、このときうんちは国境を超えてボーダレスなんだと実感しました。
自信を深めた私ぼくは日本の他のゲームショウでも出展しました。そのうち、いちいち着替えるのがめんどくさくなり、あるときそのままの格好で行ってみようと思い、実行に移しました。
すると歩いていても電車の中でも皆がニコニコ笑顔になり、多くの人と一緒に写真を撮ったりもしました。(これは今でも続いています)


ゲームショウでも美しいコンパニオンさんから写真撮影をお願いされたり、握手を求められるなどしましたね。コンパニオンさんなんて、本来はこっちからお願いしにいくところですよね。
皆好きなんですよね、うんちが。
そして、冒頭の話に戻らせていただくと、当時経営会議を行っていたのんですが、あるとき誰も会議に来なかったんですよね。現場が忙しくてそれどころではないと…。
非常に考えさせられました。それが金曜日のことだったのですが、翌日の土曜日に皆を集めて、自分が社長をやっていることが会社にとってはよくないと思うということ。さらに、各部門を子会社化するので、それぞれ自分の思うようなやり方でやって欲しいという話をしました。そこから1年かけて準備を進め、1年半以降はほぼほぼ関与しなくなり、各社山あり谷ありですが、なんとか自立してやっていますね。
人を変えるのは本当に難しいですが、自分は変えられます。自分が変わればまわりの人も自然と変わってくれることが多いと思います。

西野さんも絶賛のフラッシュモブ

R:フラッシュモブの動画を拝見させていただきました。すごくピースフルな印象を受けました。
2017年には1000人でのフラッシュモブを行われていらっしゃいましたが参加人数はどのように増えていったのでしょうか?

U:元々は特にフラッシュモブをやるつもりはなかったんですよ。日常的にうんちマンをやっていると色々な声がかかるわけですが、その時は昔からの仲の良い友達から自分も一度うんちマンになってみたい、そんなオファーが有りました。たまたまもうすぐハロウィンだから、ハロウィンにいってみようかとい言う話になり、うんちマン5人+応援5人くらいで開始しました。
我々が道玄坂を下っていくと仮装している人たちや街行く人たちもキャーキャー近づいてきてくれて、写真撮りの行列ができてしまいました。ニコ動も取材に来ましたね。
みんな激烈に喜んでくれていましたね。そこで改めて、うんちマンのパワーに気がついたわけですね。
そんなに喜んでくれる人たちがいるのならと翌年はもう少し大規模にやろうと考えるようになり100名募集したところ、50名ほどが集まりました。
センター街の真ん中の地下のお店を貸し切って、そこから黄色い人たちが次々と街中に生み出されていく、その画に皆が大喜びです。


ちょうど前の日に、キングコングの西野さんがハロウィンでゴミ拾いをしてアートをつくる。
というような取り組みをされており、ぼくもそこに参加させていただきました。
その際に歩道橋の階段をおおぜいで上がると目立つということに気がついちゃいまして、渋谷駅の井の頭線から下ってくるマークシティのエスカレーターからうんちマンたちが次々に降りてくるという動画をつくったところ、西野さんからも『スゲー!』と驚嘆のお言葉をいただきましたね。


その後、電通のダイバーシティラボという障がいを持たれている方々も来られる会議に誘われて参加したところ、その会議のリーダーの方があっという間にうんちマンのスタイルに心を奪われたようで、自分も是非
うんちマンになりたい!と言い出されて、翌週コスチューム等を持参するとその場ですぐに着替えて盛り上がり、そこに居た車イスの障がい者の方々も一緒にやりたい、ということになり、コースなどにも配慮して1000人くらいを集めてフラッシュモブをしようという話になり、
結果的に200人くらいですかね。パラリンピックのメダリストの方や一部上場企業の社長さんご一家、文化人の方々なども参加してくださいました。また、こちらの方ではとくに意図はしていないのですが、女性でやりたいという方が多いですね。女性は直感的にやりたいと思ったらすぐに来てくれますね。


このフラッシュモブもそうですが、ぼくはこうしよう!ああしよう!という意図を強くもってやっているわけではないんですよね。自然の流れで巻き込み巻き込まれつつ拡がっていくのがいいですね。
この生き方をするようになってから、なにかに困るということが格段に減りましたね。以前、株式を上場しようと絵に描いた餅のような事業計画を立てている時などは非常に辛かったですね。

自分をおとしめることで見えてくるもの

R:早朝オンライン瞑想の会を主催してらっしゃいますが、瞑想を始められたきっかけについてもお教えください!Finders Course(※2)などは関係しているのでしょうか?

U:ぼくは元々10年前くらいからヨガをやったりしていまして、友人がFinders Courseを受講したこともあり、4ヶ月で悟れると聴き受講しました。
実際にやってみると、瞑想にも様々なやり方があって、自分に合っている方法を見つけられるとWellBeingにもなりやすくなりますね。
また若い頃からインドなどの神秘的な感じが気になっていたということもありますかね。
人間が知っているのは未知なる世界全体のごくごくわずかな部分です。皆若い頃は自分が正しいと思い込みがちですが、死ぬ間際には穏やかになっていくことが多いように思います。
アップルの創業者のスティーブ・ジョブズさんなどもそうですよね。本質的には誰しもが“悟り”的なことに興味をもつのではないかと思います。

R:UN理論やワークショップも非常に気になっており、触りだけでもいいのでお教えいただけますと幸いです!

U:UN理論はU理論と重なる部分があります。うんちマンとしての活動を始めてみて思ったのですが、うんちは〜くさい、きたない、かっこ悪い(3K)〜と言いながら、
何故かみんなうんちを嫌いになれないんですよね~、特にお子さんは正直なのでうんちに愛着や面白みを素直に感じて表現してくれるのだと思います。
うんちという、自分自身が汚い、忌み嫌われる存在になることで見えてくるものがあるだろう、といったところでしょうか。
うんちマンはビジュアル的に最初はふざけている人、バカな人だと思われがちですでの、少し良いことを言っただけで『おおおー!凄く良いこと言いますねぇ!』と驚かれることが多いでます。
実際に人間はギャップに感動しますからね。ビシッとスーツを決めた身なりが立派な方が真面目なことをいっても普通ですからね。


自らがけなされたり、笑われたり、嘲笑されたり、そんなことは誰も自ら進んで経験しようとはしませんよね。
自分も若い頃はそうでしたから、自らをよく見せようという気持ちもとても分かりますが、一度自分をおとしめることで見えてくるものもあると思います。
この格好で歩くと、世の中がみえてきますよね。例えば大手町の男性のビジネスマンはぼくの存在を認めていないかのように見て見ぬふりをしますが、夜の新橋だと彼らもうるさいくらい声をかけてくれます。
大手町でもOLさんはときどき写真撮っていいですか、などと声をかけてくれまする。男性は仕事場では心に鎧を着て空気を読んでいるので見て見ぬふりをせざるを得ないですが、女性は常に自分の感性に正直であろうとしているのだと思います。

R:すごい影響力ですね、なんか悟りの境地に達しておられるというか・・・

U:多くの会社の社長さんにもうんちマンになってもらえると、価値観がガラリと変わる部分もあるんじゃないですかね。
自分自身は社長をしている頃は部下やいろんなことを否定をしまくってました。染みついた否定根性は取れないと思っていました。
そこで、否定からの開放ゲーム(NOからの解放ゲーム)というものを思いつきました。どういうゲームかというと、現実社会でリアルにプレイするゲームなのですが、ぼくの発言や行動を周囲の人が否定的だと感じたら教えてください!教えてくれたお礼に1000円を払うというゲームなのです。
会社ではみんななんとかぼくに否定的なことを言わせようと、トラップを仕掛けてくるのです。
ぼくが引っかかって悔しがりながらもお金を払う、それを見て周りもクスクス笑いながら会社の空気も和んでいきましたね。
また、会議のときなどは言うことは言わないといけないときもあるので、
机の上に万札をバンと置いて、「今日はこれだけは言わせてもらうぞ!」なんて日もありましたね(笑)これを「否定の大人買い」と言っていました。部下やメンバーも、それまではただ否定されていたのが、お金もらえるから聴いてやろうかという気持ちになるし、
副産物的なところでいうと、ぼくが否定的なことを言わないかと皆集中するので、話を聞いてくれるようになったと思います。
ぼくは嫌なことを嫌なままにしていくことが性分的に合わないので、とにかく楽しくやりたいんですよね。

恐れの少ない世の中をつくる

R:HPにもグレタ・トゥーンベリの画像とともに環境UN動家うんちマンとなり、という表現がなされていますが、環境に関わる取り組みをされる中でグレタさんの影響が大きかったのでしょうか?
また、最近環境に関する関心事についてもお教えください!

U:グレタさんについては、最初は正論をいうけど、表現の仕方にとても毒がある子だなぁと思っていました。ただ、よくよく話しを聞いてみると無理もないなと。
とくにぼくたちオジサンは、こそうしようと思って地球温暖化に加担してきたわけではないにせよ、実際にこういう世界にしてきたのは主に自分たちオジサンなわけで、環境のことをないがしろにしてお金儲けや快適な生活をすることに走ってきてしまっていたわけですね。
そこで大反省をしまして、少しでも地球温暖化を食い止められるリジェネレーションにつながるようなことができればと思い活動し始めました。
この格好のままやっている理由としては、うんちマンのままでやっていたほうが注目されやすいからですね。さらに、うんちは循環の象徴でもありますからね(笑)
博報堂さんのUOCの中ではサーキュラーエコノミーのプラットフォームに関わっていて、大企業の方々など十数社ほどに集まっていただき、ワークショップを行ったりもしています。
大企業の中にもサーキュラーエコノミーの事業を増やしたいという企業様も増えてますが、最大の壁がコストですよね、回収した廃棄物を原材料に戻して使うとどうしてもコストが高く付くのですよね。視点を変えなくてはなりません。世の中のマジョリティがそちらにまだ向いていないんですよね。


このまま進むと20、30年後はどうなってしまうのか、それを分かりつつも見て見ぬふりをしている現状。予測不可能な近未来を恐れて、結果的に内部留保が増えていく。
例えばEUのように法規制で縛られるようになると商品を欧州に対して売れなくなってしまいますよね。さらに今の10代、20代は自分たちより
サーキュラーエコノミーや地球温暖化に対してセンシティブな人が多いです。今のうちから手を付けておくことでトップランナーになれる可能性があります。
その他、関わっているアーバンファーミングについてはそれ自体が地球温暖化に寄与するというより、機運を高めていくという意味合いの方が大きいですね。
データを基にああだこうだというより「アーバンファーミングってなんかイケてるよね」のようなファッション的アプローチの方が重要です。
一昔前の家庭菜園からのバージョンアップですね、土を耕したり、作物を育てる中で、なんでお肉より野菜を食べたほうが地球環境にいいか、なんてことも学べますし。

R:最近あった嬉しかったことについてお教えください!重ねて、今後の野望についてもお聞かせいただけますと幸いです!

U:サーキュラーエコノミー関連でワークショップをする際に、大企業の方々は、最初はうんちマンをみてびっくりされるものの、真面目に取り組んでくださる方が増えていると感じることですね。ある程度以上の企業がそのような意識をもってくれないと循環社会になりません。海外でも例えば廃棄物を出さない形でのモノづくりをされている企業は出てきていますが、まだまだこれからです。
未来のためにもサーキュラーエコノミーへのシフトが必須であるという想いを持った方が増えている印象で、
その想いを形にするためにアウトプットを出していかなくてはなりません。(廃棄物を出す企業とソリューションのマッチング)例えば、どんな廃棄物でもアルコールにできます、みたいな技術をもった企業があるのですが、まだコストが高くて使いたくても使えない。また時に法規制が壁として立ちはだかります。
そのためにはZ世代の方々や、より若い子たちにも一緒に参加してほしいですね。子供のときの記憶と印象はとても強いですからね。その子達が大人になる頃にはぼくたち大人の意識もかなり変わってくると思います。
循環型社会と言われていた江戸時代にはそれこそ、うんちも売買されていたわけで、過去できていて今できないということもないですよね。

R:うんちマンさんを突き動かす言動力について、最後にお聞かせください!

U:今よりも、より環境にやさしい、というよりも“恐れ”の少ない世の中にしたいですね。
全てのことにつながっている“恐れ”、国と国と争いもその根っこには“恐れ”があるのではないかと感じます。
“恐れ”が抑止力を働かせ、競合が何かをつくるとシェアを奪われないようにこちらも何かをつくる。
東京で生きているとお金がなくなると生きていけない、そんなイメージがありますが、
お金への”恐れ”がなくなると、不思議とお金に困らなくなるんですよね。以前社長をしていた頃は資金繰りが苦しい、倒産したらどうしよう…など、常にお金のコトで頭はいっぱいでした。
必要のない”恐れ”をいかに軽減していくか、
自分の中での”恐れ”といかに向き合っていくか、いざ本番になったら”恐れ”るのではなく楽しむこと。
うんちマンになってからぼく自身は緊張をまったくしなくなったんですよね。
なんでかと考えると、常にジロジロ見られ、声をかけられることで”恐れ”を手放したのかもしれませんね(笑)
今日はどうもありがとうございました。

※1
博報堂が開設した「We are All born Creative」を理念に、創造性を教育・研究・社会実装する研究機関。
多様な関係者とともに未来創造の技術としてのクリエイティビティを議論し、研究し、社会実験していく場であり、専門性と世代を超えて未来のアーキテクチャを探る「創造性ゼミ」等様々な取り組みが行われている。

※2
ジェフリー・マーチン博士が長年の研究の末に開発した、
瞑想とマインドトレーニングで持続する心の幸福感(Fundamental Wellbeing)、
平穏感を発見する手助けするための4ヶ月間のコース。