今回はサステナブルファッションエキスポで、
出展されているブースにお邪魔し、
そのあり方に惹かれ、
是非、取材とをお願いさせていただいた
ホリゾン株式会社の𦚰田さんに
お話を伺いました
カシミヤ産業を未来をどのように創られるのか、
事業のこれまでとこれからについて
インタビューにお答えいただきました
下記コーポレートサイトに
製品の情報なども掲載されていますので、
是非、ご確認ください
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ホリゾン株式会社HP
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R:REUSED
H:HORIZON𦚰田さん
草原地域に産業を創りたい
R:かんたんな自己紹介をお願いします!
H:𦚰田です、ホリゾンには2018年に入社し、今は広報をしています。
弊社の前にもアパレルのお仕事についていたのですが年々、短納期な上にコストも厳しくなっていく中、
店舗ではお洋服が飽和状態になっていて常に割引をする状態に疑問を感じていました。
アパレル産業との関わり合い方を模索している中で、
弊社の求人に応募し、お話を聞かせていただいただいた際に
想像を超える壮大な計画に驚き、それが今に至ります。
R:御社の事業についてもご紹介ください!
H:弊社の代表は内モンゴルの出身で、内モンゴルの大学を出た後に、
日本の岡山に留学をしていました。もともとは砂漠化の問題に取り組む研究者でしたが、
ご実家がカシミヤ産業に携わっていたこともあって、大学教授への道ではなく経営者の道を選びました。
R:なるほど、それで内モンゴルに工場をなんですね、
H:会社の創設が2002年なのですが、当時は自社工場を持っていなくて、
社長の友人の工場に依頼をしていました、
カシミヤ原毛から製品になるまでには、整毛、染色、紡績など、様々な工程があって、
1つの工場で完成するわけではないんです。
工程ごとに別の工場となると、何か問題があった場合に、
どこに問題があったのかを突き止めることが難しいです。
トレーサビリティに限界が生じてしまう。。。
それが自社工場を開設する、ということにもつながります
R:工程ごとに工場が分かれていたということは
自社でそれをすべて賄うとなるとそれなりの規模感になりますよね
H:2005年に工場ができたのですが、原毛から糸になって生地になり製品まで、
自社工場内での一貫生産になりました。
工場の大きさの表現が難しいのですが、大学1個分くらい、とお伝えさせていただいています。
(※取材後に東京ドーム約1.4個分とお教えいただきました)
敷地内に倉庫もありますし、従業員の宿舎もあります。
弊社のカシミヤの原毛は現地の行政から認定いただいて牧民さんから公平な取引の元に受け取っています。
R:すごく本質的な取り組みに感じます、牧場なども所有されているわけですもんね
H:自社牧場は2019年に開牧したのですが、研究のための牧場でもあります、
牧民さんだけでは解決できない問題が様々あって、牧民の高齢化や後継者の問題、
山羊の飼育にまつわる労働力だったり、山羊の飼育にどれくらいの草原の面積や飼料が必要なんだとか。
解決するにはまずデータをとって分析し研究する必要があったので、自社牧場を持つに至りました。
私たちだけで出来たわけではなく地域の行政と牧民さんの協力によって成り立っています。
例えば、日本だと放置していると草むらになりますが、
牧草地に1年間家畜が入らないテストもしてみましたが、草に元気がないんですよね。
動物のフンを自然界に戻す糞虫なども生息しているので、自然のあるべき姿について考えさせられます。
過去に農作物を植えたこともあったようなのですが、
開墾が土地の荒廃につながり、砂漠化してしまった、というような事例もあるようです。
どの土地にもその土地土地の風土、歴史があり、
そこに適した生活スタイルで経済を回すのが最善なのかもしれません。
R:内モンゴルに行かれてお感じになられたことについてお教えください!
H:本当にぽつんと1軒家というような場所で近くにコンビニなどがあるわけでもありません、
電気についても、自家発電の場所もあります。特に奥地はインフラも届いておらず、
風力発電や太陽光発電、水についても、自家用の井戸がない場合は汲みにいったりといったところです。・
内モンゴルは国土の広さは日本全土の3倍くらい、畜産業を営まれている方が多いですね。
R:日本だとなかなか考えづらいですね。
雰囲気としては、北海道のようなイメージなんですね
H:現在、自社牧場が8つありまして、一か所に固まっているわけではなく、ゴビ砂漠に近い場所であったり、
Wi-Fiも届かないような人里離れた山奥にもあります。
場所が違うことで、とれるデータが変わってくるんです。
その中でも研究拠点となる生態牧場の敷地内には、研究所を建設しています。
そして同じ施設内にカシミヤの原毛の取引センターもできます。
草原地域に産業を創りたいという目標があります。
取引所があることで、草原まで来ていただき、ヤギのいる環境を
自身の目で確認していただくのは分かり易いトレーサビリティだと思うんです。
世界各国から来ていただきたいですね。
カシミヤ業界はカシミヤ偽装の問題というものがあり、
カシミヤ100の製品を検査するとそうではない、なんてことも。
そうなるとつくっている側もダメージを受けますよね、
当然それで生計を立てている牧民にも影響が出ます。
だからこそ、トレーサビリティには拘っているんです。
農工商を掛け合わせた6次産業を
R:HPにも「染色しない」などの記事を掲載されていらっいゃいますが、
御社の製品に関するこだわり、についてお教えください!
H:内モンゴルはホワイトカシミヤの世界的な産地になります。
カシミヤ山羊の生息は主に中央アジアになるのですが、他の地域は茶色い個体が多いんです。
カシミヤ山羊は天然のままでホワイト・モカ・ベージュの個体差があって、そのまま染めないことは
環境にも優しく、染めない天然色は風合いもいいので、
自然そのものの風合いを楽しんでいただければと思います。
R:御社の設立は2002年ということで、SDGs元年の2015年より遥か前ですが、
アパレル産業に関する見られ方が厳しい今の現状をどのようにみられておりますでしょうか。
H:様々な議論を耳にするたびに、私たちにも足りていないことがあると考えさせられ、
行動に反映していかなければと感じています。
SDGsという概念に関して言うと、弊社のこの事業をどうお伝えればいいかとずっと悩んでいたので、
エシカル、サステナブルという言葉の認知度が上がって、かなり説明しやすくなり感謝しています。
私たちの場合は、サステナブルな素材をつくりたい、ということが先に来ているわけではなくて
カシミヤ産業全体の先々を考えて行っているものです。
R:良いこと、と収益性のバランスについてはよく議論にあがりますが、
御社はそのあたりについては、どのようにお考えでしょうか
H:これはなかなか難しい質問ですね。。。
表現が難しいところですが、我々のやっていることは、損得の計算ではなくて、
現在の産業の課題に対して、産業の存続のために全力で取り組んでいるということです。
問題を解決しなくては、産業の存続が危なくなってしまいます。
R:産業の未来をつくられている、ということですね、
H:それこそ、自社牧場を目指したときには、収益性の面から反対意見があったようです。
ただ、行動を続ける中で、周囲の理解も深まりSDGsの広がりもあって、巻き込むヒトの数も増えてきました。
強い意思をもって続けていくことで収益性の両立も可能になっていくのかなと。
R:事業ではなく使命ですね、もはや
H:会社の設立から今にいたるまで、常に産業全体を考えて、
常に課題に向き合ってきています、牧場を始めた際には、うちの社長は
「これは趣味だから」などと言ってたのですが、前例のないものはなかなか理解してもらえにくいですね。
R:少し話題を変えまして、コロナの影響はありましたでしょうか、
H:ビジネス的には売り上げが半減しました、取引先も同様にお困りでした、
が、その状況下にあっても少しだけでも、ということで注文を下さる方もいて有難かったです。
また、墨田区民の方向けに自社内で直販し、カシミヤを楽しんでいただける機会をつくれたことはよかったです。多くのお客様に励まされました。
R:最近嬉しかったことについてもお教えください!
H:昨年9月に墨田区の「すみだモダン」「ブルーパートナー」に選定いただいたことですね。
墨田区には伝統的産業を担う職人さんや、ものづくりをされている工場が多くあります。
そういった背景もあって「すみだモダン」は区内の技術や産業から生まれた優れた商品を
認定するものなのですが、弊社の場合は「新しいすみだモダン」の
「ブルーパートナー」=「未来につながる活動をしている企業」ということで選定いただきました。
私どもの活動を知っていただけるきっかけにもつながり嬉しく思っております。
R:HORIZON社を「〇〇業」と表現するとすると、何業になりますでしょうか。
H:弊社は農工商を掛け合わせた6次産業を創造することを目指しています。
そこに循環型という要素も加味していきたい。
先ほど述べさせていただいた取引センターの話もそれにあたりますが、産直的な考え方をしています。
牧畜から始めて、工場をもって、さらに商売もしていく、
農工商という仕組みをつくることがトレーサビリティにもつながっていきます。
R:2030年を全世界的な一つのスパンだと考えたときに、2030年にどうなっていたいでしょうか。
H:先ほどの話にもつながっていまして、
弊社の商品を使っている方が牧民さんと直接お話しできるような未来です。
誰がどこで育てて作ったのかと同じくらい誰がどこで着ているのか、お互いが知り交流できる世界です。
R:今後の展望も含めてお教えください!
H:会社的にはベンチマークになれる存在になれたら嬉しいです。
弊社がこの取り組みを続けていくことで参入する企業が増えてほしいと思っています。
そうすることで、課題解決のスピードもあがりますし、弊社だけだとできないこともあります。
力を貸していただくだけではなくて、弊社も逆に手を貸すこともできることもあるかもしれないですし。
私たちがやっていることが、SDGsというきっかけにより認知していただけるようになってきました。
展示会などに出展した際にも、少しずつアイデンティティが形になってきている実感を持てました。
私たちの活動が1つの目印になり、誰かの考えのお役に立つきっかけになれば嬉しいです。
昨年度からカシミヤのリサイクルのラインを構築しています。
現在は、工場内で生産ロスしている製品を粉砕したり、紡績時にでる落ち綿をつかってますが、
ゆくゆくは古着となったカシミヤ製品を回収して、再度資源として循環させることが目標です。
話をする際にどうしても堅めの話に受け取られてしまいがちなので、
どのように分かりやすく伝えていくか、目下の課題ですね