今回、取材をさせていただいた、アップサイクル盆栽アーティスト髙井さんとは、
東京都内で開催されていたNewEnergyというその名の通りエネルギッシュな展示会で
お会いさせていただきました。
そこで展示されていた商品もとても魅力的でしたし、
いただいた資料に書かれていた今に至るまでのプロセスにも関心があり
今回、インタビューをさせていただきました。
SANOYOI
https://sanoyoi.com/
オンラインショップ
https://sanoyoi.theshop.jp/
R:REUSED
T:髙井さん
アップサイクル盆栽までの道のり
R:かんたんなご自身の紹介と現在、取り組まれていることについてお聞かせください!
インテリア盆栽をお始めになられたきっかけなどについてもお教えください!
T:髙井と言います、新潟県新潟市在住現在37歳で2児の父でもあります。
枯れた盆栽をアップサイクルしたインテリア盆栽の販売をしています。
はじめたきっかけついてですが、大元をたどると光と影の演出をしたいと考えていたこと
に端を発しています。
あるアーティストのライブ映像を見た際に、その映像が影を映したところからはじまった
いたんですね、その時に、影には期待値を上昇させる力をもっていることに気づき、影って面白いなと思
うようになりました。自分自身の結婚式でも影による演出をしてみたところ、それも好評で。影の力に魅せられ
たわけなんです。
R:影と盆栽はどのようにつながってくるのでしょうか?
T:父親が盆栽をしていたということもあってかもしれませんが、影に何を映すかと考えた
際に浮かんだのが盆栽でした。生の盆栽を自分がかっこいいと思える形にいじれるようになりたいと考えましたが、生の盆栽を仕事にしようとすると5~10年はかかることが分かり、どうしようか、造花の盆栽はないのかと調べている中でクラフト盆栽をされている方が横浜に居ることが分かり、
泊まりがけて横浜に通い、クラフト盆栽を学ぶようになりました。クラフト盆栽は想像以
上に細かな作業が求められるんです。
今、メインとしているアップサイクル盆栽は、自分自身が趣味でやっていた盆栽を枯らし
てしまった際に、ドライ盆栽というものがあることを知り、師匠となる方を探し当てて学ぶようになりまし
た。クラフト盆栽の方が手間暇がかかる分、価格としては少し高めになり、今は受注生産の形
を取らせていただいています。
R:20歳のときに世界1周の船にお乗りにということですが、そこではどのようなことをお
感じになられたのでしょうか。
T:ピースボートです。高校を卒業した後に勤めていた酒造メーカーの取引先の娘さんきっ
かけでその存在を知り、話を聞いた数日後には大宮での説明会に参加していました。あの時間は人生の中でも一番楽しかった時期かもしれません。
それまでの20年間新潟で生きてきた自分自身の世界観の狭さと世の中の広さを同時に味わ
いました。
新潟県外の同年代の方々と接することができたことはとても刺激的でしたね。
世界1周の旅から帰ってくる頃には、このまま新潟にいては駄目だという感覚が強くなっ
ていましたね。
R:それが北海道、東京ということにつながっていくわけですね、就職などを経て脱サラを
されたとのことですが、何かターニングポイントなどはおありだったのでしょうか。
T:北海道に行ったのは、船で仲良くなった子を追いかけてというごくごくシンプルな理由
です。実際に北海道に行ってみると、地元の新潟とも通ずる閉ざされているという感覚と、
何より冬の寒さが厳しすぎて、結果的に1年と少しで東京に出てくることにしました。
人生で1度は東京に、東京にいけばやりたいことが見つかるだろう、くらいのスタンスで
したが、現実はそんなにあまくなく、その後流されるように就職したものの、北海道から一緒に来た彼
女にふられてしまいさてどうしたもんかと。
うちは親族に医療関係者が多く、医療関係は良いと言われていた記憶もあり、眼科の専門
学校に行くことにしました。
そこで今の奥さんと出会ったわけですので、人生は不思議ですね。卒業後には眼科に3年
ほど勤めて脱サラしました。
R:今の事業の前に、ゲストハウスを開かれた経緯はどのような経緯だったんですか?
T:友人から2週連続でゲストハウスが向いている、と言われたんですよ。それぞれ別の人
間です。2週続けて言われたことで運命を感じてしまったんですね。ちなみに私にゲストハウスが
向いていると言ってきた
友人それぞれは特につながりはないんです。当時、シェアハウスなども流行っていたんで
すよね。当時はこのまま眼科に勤めて一生を過ごしていくというイメージでしたが、20歳のあの船
上での記憶や想いがこみ上げてきまして、
ゲストハウスの運営を行うことにしました。ただ、サービスを利用する側と提供する側で
は全く別物ということに事業を行う上で気づき疲れてしまったので、表に出るのではスタッフにまかせて自分は表に出るのはやめました。4年は続けて、コロナのタイミングで事業は譲渡しましたね。
盆栽2.0そして影の演出家へ
R:盆栽2.0というのが、とても気になるので、2.0の意味合いについて教えてください!
T:盆栽2.0は勝手に自分で命名しただけでして、1度駄目になってしまった盆栽を生き返ら
せて2回めの盆栽にとっての人生を創出するというイメージで発信させていただいています。
R:高井さんがお仕事をされる中で大事にされている考え方などあれば是非教えてくださ
い!また、最近あった嬉しいことなどについても教えてください。
重ねて、一番最初に受けたオーダーの想い出などもよろしくお願いします。
T:考え方という観点ではないかもしれませんが、私の親戚が建具屋さんをやっており、も
う80歳くらいになりますが、人として尊敬できる存在です。損して得をとる、人のために動く人で、自分もそのように成りたいと思っています。
人の想いを大事にして生きたいと考えています。制作については、完璧主義で細部にまで
こだわっています。細部の細かさに気づいていただけると嬉しいですよね。
最近嬉しかったことでいうと、キングコングの西野さんの講演会に盆栽を置かせていただ
いたことですね。ただ、せっかく楽屋に挨拶に行く機会をいただいたにも関わらず、うまく話せなかったこ
とが反省です。同席していた妻にも後で突っ込まれてしまいました。「なんであんな言い方したの?」
と。「どうやって着色しているのですか?」という西野さんのごくごく自然な質問にも普通の
回答ができないくらい緊張していました。
一番最初のオーダーについては、新潟市内のグレードの高いホテルに盆栽を置かせていた
だいているのですが、そこに宿泊されたお客様から
お問い合わせをいただき、そのまま見学に来てくださりオーダーをいただいたのが最初で
すね。埼玉の方でした。
R:インテリア盆栽、ドライ盆栽、影盆栽と様々な切り口を展開されていらっしゃいます
が、髙井さんのインスピレーションの源泉はどこにあるのでしょうか?
HPにある影をテーマに盆栽を昇華させるという部分がとても気になっていますので、その
あたりについてもお教えください!
T:商品はすべて直観でつくっています。最終的に到達したいのは影の演出家として活動し
ていくことですね。影を通すことで見えていくる存在感などを演出していきたいんですよね。
最近、竹灯りなどがイベントや商業施設を彩る光景を目にしますが、私もは盆栽単体であったり、
また影を加えて空間を彩る演出家として声がかる存在になれたらと思っています。
その目標の達成のために、今後は会場装飾等の活動を積極的に行っていきたいと考えてい
ます。
(編集後記)
アップサイクル盆栽は実際に目の当たりにすると、その味わい深さに魅了されます。
今回のインタビューまでは影というものをそこまで意識したことはありませんでしたが、
言われてみると確かにシンプルな影絵でもなんとも言えない味わいがありますもんね。
キングコングの西野さんの講演、大手百貨店などからの引き合いもあるアップサイクル盆
栽、空間の演出も可能ですので、気になる、という方は髙井さんまでお問い合わせください!
インバウンド需要でニーズはますます増えるだろうな・・・