~リサイクル材料界のゴアテックスへ~価値創造メーカ「GREEN FLAG」の代表の安田さんにお話を聴いてみた

~リサイクル材料界のゴアテックスへ~価値創造メーカ「GREEN FLAG」の代表の安田さんにお話を聴いてみた

今回は株式会社GREEN FLAGの代表の安田さんにインタビューさせていただきました。
ある会社様からのご紹介をきっかけにぜひ取材をということでオファーさせていただきました。

株式会社GREEN FLAGさまは、サーキュラーエコノミーの実現をミッションとして掲げられており、
再生繊維フェルトの販売やサーキュラーエコノミープロジェクトの支援を事業として行われており、
お客様のご要望を基に別注製造なども手掛けられています。

企業のノベルティや椅子、什器など自社の材料の用途開発も進められています。

廃棄衣類に燃やす埋める以外の選択肢を創り出している株式会社GREEN FLAGさま
その代表である安田様のインタビューを是非、お楽しみ下さい!

《HP情報》
株式会社GREEN FLAG
https://greenflag-corp.co.jp/

Y:安田さま
R:REUSED

顧客企業様に委ねることで思いがけない使われ方が

R:まずは事業のご紹介をお願いします。どのような経緯で今の事業が始まったのかについてもお教えいただけますと幸いです。

Y:もともとは化成品・プラスチックを取り扱う仕事をしておりました。
そんな中、会社も多角化をする中で当時は雇われの身でしたのでサラリーマン根性で今の事業に関わり始めたのがきっかけですね。この材料に触れれば触れるほど、事業化できると感じるようになりました。生産能力も足りるだろうと。世の中には100%リサイクルを謳うアイテムは溢れていますが、結局はコスト高のコストが価格に転嫁されそれではなかなか世の中に広まるものではないですよね。あるきっかけで会社を退職して、毎日ふらふらしている時にどうしてもこの事業が忘れられなくて、製造している工場と一緒に会社を設立するに至りました。会社を設立できたのは、今支えていただいている様々な方のご協力おかげです。
CSRなどももちろん大事であるとは思いますが、我々としては事業として成立させてこそ本来の目的の達成につながると考えています。会社をつくった理由について個人的には、この事業をせずに年を取った自分が昔の自慢話のように、「昔自分もこういうこと(環境に関する事業)をやっていたからね」なんて言うのが嫌だった、後悔したくなかったということもありますね。

R:HPを拝見した際にも考え方を非常に大事にされている印象を受けました。事業を行う上で大事にされている考え方についてもお教えください。

Y:社会活動と事業を私は分けて考えていまして、本来の問題解決を図るには事業としてやるべきであると。
そのためには、この材料を誰でも使いやすいものにしていかなくてはなりません。
弊社からは必要以上の価値観をこの材料には与えずに、顧客企業様に委ねています。
今は1社でも多くの企業様に、どうすればまず使ってみていただけるかということを思案しています。
例えばスポーツメーカー様の企画で、うちの素材を靴に使ってみたり、
お子様に向けたワークショップなのですが、ボッチャのボールを作るといったことは我々では想像もつかなかった用途ですね。我々の素材の特徴としては、ただ固めるためだけにバインダー(つなぎ)だけを単独で使うということをしていないために環境負荷をかけていない、という点が挙げられます。

R:私も廃棄アパレルのアップサイクルとして土に変わる素材等ものをサンプル製作いたしましたが、
分別が非常に大変で当然と言えば当然ですが、アパレルアイテムのデザイン自体がリサイクルを前提につくられていない、ということを強く感じました。今のモノづくりという観点でどのようなことをお感じになられますでしょうか?

Y:使い終わった後のことを考えてのモノづくりはまだまだ少ないのではないかと感じています。
弊社で関わらせていただいた渋谷のファッション関連のイベントが、
撤収時にごみを出さないという点にフォーカスを当てており、イベント終了後の取り扱いを加味して、
木のでできた什器に我々材料を貼り付ける際にものタッカーなどは使わずに、例えば木工ボンドを使ったりと、イベント後も廃棄することはなく、今も他の場所でベンチとして活躍していたりと最大限活用されています。通常のイベントって、終了後、大量のゴミが出ることが少なくないんですよね。
なぜリサイクル前提でないのか、という点については、様々な面において思いますね。
例えば服にしても昔は1着のコートを直しながら長く使うなどが文化としてあった記憶がありますが、今はどうなんだろうかと。

R:ボードを拝見させていただき、それぞれが1点ものであり雰囲気も非常に温かみがあると言いますか、愛嬌のようなものを感じました。実際にクライアント様からは御社の製品にはどのような声が上がることが多いでしょうか。・

Y:初回の接触時にお客様がよくおっしゃるのは、見た目がリサイクルっぽくていいよね、ということなんですが、2回目、3回目と回数を重ねるとすると求められるのはデザイン性になると思います。
現状おける取り組みにおいては、まだ社会活動色の方が前に出ているケースも少なくないと感じます。
事業として取り組む上では、実際に使ってみたいという声をより多くの企業からいただけるように
カラーバリエーションをつくる必要があります。

価値創造メーカーとして

R:事業の収支を整えていく上では、用途開発も重要ということですね。

Y:そのとおりです。例えば、弊社の材料はボードにせずに水耕栽培に使うこともできます。
自分自身フェルトをメインにする仕事をしているとは想像もしていませんでしたが、
フェルトは紀元前5世紀からあった材料なんですよね。布地が生まれる前から、それこそ
毛皮の次くらいに歴史ある素材だと思います。
我々のリサイクルのやり方は非常に原始的で低カロリーで行うことが可能です。
やるにあたっての負担が少ないため、誰でも、は言い過ぎかもしれませんが、
たくさんの人に携わってもらうことができるポテンシャルを秘めています。
そこには工場の協力も欠かせません。今お世話になっているケナテックス様とは
当初はあくまで会社の方針の中で付き合っていたのですが、その後の展開により同志感が増しました。

R:事業を進められている中で、世の中の潮目が変わってきたなどの変化をお感じになられる時はありますでしょうか?また、それとは逆に、今もお感じになられている課題感などあれば重ねてお教えください。

Y:すごいスピードで感度が上がってきていることを感じます。ただ、事業の根幹としてやっていこうという企業はまだ多くはないと感じています。ただ、サステナビリティ推進室などの形で企業内に専門部署が
できている様子を見ると進んできている感はありますね。
問い合わせの内容もスモールでもいいので実施したい、などが増えてきており、
当初の予定よりはスモールなパッケージもつくりました。工場側も非効率的な取り組みではあるが、
お客様に触れていただく機会の必要性を認識し協力してくださっています。

R:今のご時世柄、変化も早く大きい中で、1社で全てを賄うという考え方より強みを持ち寄るオープンイノベーション的な取り組みも活発になっておりますが御社におけるオープンイノベーションに関するお考えもお聴かせいただけますと幸いです。

Y:弊社はコラボレーションにあたっては、お取引先企業に材料の配合まで明かしているんです。
最も進めたいことの一つとしては企業との連携を増やすことです。コンソーシアムを創るということも一つの考えとして持っています。。今の企業を見ていて感じる点としては余裕のなさですかね。注文をさばくということで精一杯。

R:最近あった嬉しかったことについてお聴かせ下さい!
世の中的には2030年が一旦SDGsのターゲットイヤーとなっていますが、2030年をどのような状態で迎えられるとハッピーでしょうか。また、GREEN FLAGを●●表現するとすると何業になりますか?

Y:嬉しかったことは2023年の5月16日にGREEN FLAGを設立したことです。
そこに夢と希望をもって参画してくれる仲間がいることも嬉しい限りです。今支えていただいているお客様にも感謝です。我々を何業かと表現するとしたら、なかった価値を創る仕事、いわば価値創造メーカーとでも言えましょうか。現状はまずは知っていただくという点を重視しており、再生繊維フェルト100%の材料メーカーというような説明をさせていただいております。2030年には価値が認められてあらゆる生活のシーンで当社のボードが使われているイメージです。ベンチマークはゴアテックス、リサイクル材料界のゴアテックスを目指します!

(編集後記)
実は私も以前、廃棄アパレルを価値ある素材に変えられないかという取り組みを
していた経験があり今は中断中なのですが、中でも着手できなかったのがボードにするというプロセス。
株式会社GREEN FLAGさまは偶然(運命)の出会いをきっかけに、とのことでしたが、すごいことだと思います。私自身、古着屋を開こうとしていたくらい服が好きで、ファッションはいつの時代も
シンプルな自己表現の一つとして残り続けてほしいと感じていますし、べきだ論でいくと、
皆同じような服しか着ることができなくなり、世界的にも評価の高い日本のファッション文化が途絶えてしまいそのようなことにはなってほしくないなというのが本音です。ただ、環境とのトレードオフは何とも言えない。株式会社GREEN FLAGさまのようなソリューションが一番静脈のところでドンと構えてくださっていれば、今後ももちろん作りすぎは良くないですが、これまで通りにファッションを楽しみ続けることができるのではないかと感じます。今後株式会社GREEN FLAGさまのご活躍がとても楽しみです!

最後にボードの製造工場であり、GFへの出資会社である株式会社ケナテックス様のHPも掲載させていただきます。
https://www.kenatex.co.jp/