5つ以上の肩書をもつ、エネルギーのプロの一般社団法人日本PVプランナー協会舟山さんに聴いてみた(後編)

5つ以上の肩書をもつ、エネルギーのプロの一般社団法人日本PVプランナー協会舟山さんに聴いてみた(後編)

前回は舟山さんのご経歴や、
考え方について伺いました、

後編ではビジネス観点のお話なども
もう少し突っ込んで聴いてみます。

R:REUSED
F:舟山さん

鍵を握るスコープ3

R:炭素税へのお考えについてもお教えください!

F:炭素税は日本は導入した方がいいと考えています。
炭素税を導入することで、経済が動きます。
経済性だけでなく、ブランド性も必須になりますね。
例えば、製造工程で何エネルギーを使用しているか、などもそれにあたります。

R:スコープの話でいうと、やはりスコープ3が1つのポイントになると見ていますが、
ここについては、ブロックチェーン技術などのテクノロジーも使われると想定されますが、
どれくらいのCO2を排出しているか、などの基準については、世界で統合されていくのでしょうか。

F:現状はスコープ1、2までしか求められていませんが、
(スコープ1直接、スコープ2間接)
PRI(国連責任投資原則)のなかでもESGの観点が2005年ごろに提唱され、
主にガバナンスの側面で2008年あたりから定着してきました。
機関投資家も4半期だけでは見えてこない長期的視点で投資しないといけない。
というトレンドになりました。
そこで企業サイドが環境についての取り組みに関する問いに答えられないと、
ダイベストメント(投資引き下げ)となります。
では、どうすれば、いいのかについてのポイントですが、
===================
TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)
気候変動関連リスク、及び機会に関して
「ガバナンス・戦略・リスク管理・指標と目標」を開示すること
===================
SBT(科学と整合した目標設定)
科学的な根拠に基づいてCO2削減を行う
===================
これにのっとって、やればスコア上がる。
ということで、企業は躍起になっています。
サプライチェーンも含めて、グローバル的視点を基に考えると
スコープ3についても求められてきます。
例えば、スコープ1、2でのカバー量が全体の25%だとすると、
1、2にどれだけ取り組んでも最高25%なんですよね。となると、
残り75%を握るスコープ3にも目線は向きます。

R: なるほど、最近は環境に関する横文字もかなり増えてきていますよね。
GHGなども含めて。

F: CO2に関する話でいうと、混同されがちなのが、
ゼロカーボンとカーボンニュートラルです、
これについて説明しますと、
===================
ゼロカーボン=排出しない
カーボンニュートラル=排出した分を吸収しましょう。
===================
ということになります。
グーグルなどは2007年にカーボンニュートラルを達成し、2017年には、世界中の年間消費電力の100%を
再生可能エネルギーで賄い、そして2030年にはエネルギーの脱炭素化することを目標にされています。
国内企業で再エネで100%消費エネルギーを賄えている会社はまだないのではないでしょうか。

R:化石燃料には理想と現実のギャップがあるのかな、
と見ていますが、実際のところはどのなのでしょうか。

F:石炭発電は、世界的なトレンドとしてはなくなる方向ですよね。
日本においては、地政学的なリスク等を考えるとすぐに全廃とはならないと見ています。
エネルギー政策も含めて、日本、が試されているタイミングではないでしょうか。

日本ほど停電しない国はない

R:日本に多くある中小企業はSDGsも千載一遇のチャンスかのように言われておりましたが、
そのチャンスをつかみ取れている企業は少ないと感じています。
脱炭素、という概念に対してもどのようなスタンスで向き合っていくのがベターでしょうか。

F:エネルギー基本計画、この中にすべての今の政府の答えがあります。
世界はパリ協定の中で脱炭素の報告に向かっています。
脱炭素がグローバルで経済政策になっている中で、同じ土俵に立つ。と。
今後の世界の中心はアジアになります。
環境的な技術をそのアジアに持っていくことで、リーダーになっていく。
私も技術移転にかかわったことがありますが、各国により事情も異なりますので、
地域地域に合わせていく、ということも求められます。

R:様々な業界において、世界と日本、の比較がなされていますが、
太陽光などに代表される再エネ市場においての世界に対する
日本の位置づけはどのようなものなのでしょうか。

F:立ち位置というところで申しますと、
日本はかつては太陽光、風力で世界1位を誇っていました。
特許は多く持っていますが、ビジネスで負けています。
とはいえ、まだまだ元々ある技術を世界の経済の中心になる
アジアに持っていき覇権を握るという画は描けます。
コロナで少し減速していますが。技術移転により現地に雇用も生みますし、社会貢献にもなります。
日本は本当に部分部分では世界トップレベルなんですよね、日本ほど停電しない国もありませんし。

R:舟山さんが現在、一番関心をお持ちのことはどのようなことでしょうか?

F:やはり環境のことになりますね。一人でも多くの人に環境があってこそ、人類が成り立っている。
ということに気が付いてほしいです。
例えば、福岡県の直方においしいフランス料理店があるとします。
私は知っているので、直方に行くたびに行きますが、知らない人は行きませんよね。
つまり、知らないということは存在しない、ということと同じなんです。
例えば、コットンのシャツをつくるのにどれくらいお水が使われているか。
日本ほど水の豊かな国はほかに類をみませんが、
その貴重な資源を使ってつくられたにも関わらず、
使われていない服が家に何着もああります。
環境省がサステナブルファッションというページにまとめられていますが、
知っている人は多くないと思います。
つまりは存在しないのと同じ、ということです。
本当に良いことをやっていても知られなければ、
伝わらなければ存在しないのと一緒なんです。
繰り返しになりますが、経済も社会も環境の土台のもとに成り立っています。
次の世代に何が残していけるか。環境に携わる人間として伝えていく義務があります。

R:また、SDGsでいうところのターゲットイヤーでもある2030年、
我々の生活はどのようになっているとお考えでしょうか。

F:政府も環境に対する予算もつけていて
日本人もようやく環境の状況に関する理解ができてきました。
公民が一体となって、月に行くのに匹敵する壮大な目標に向けて
なんとなくめどがついている状態です。
2030年の目標はほぼほぼ達成し、それまでに技術などを蓄えて、
2050年までにその技術をアジアに持っていく画が見えています。という状態でしょうか。

R:舟山さんのお仕事を〇〇業と例えるとすると。

F:良いご質問をありがとうございます!
これの回答はすでに決まっているんです。「地球業」です。
一人ひとりが地球の構成要素で、
その構成要素が地球を変えられるかもしれない。
私がやっているのは、地球を救う仕事です。

(編集後記)
余談ですが、
日本の良さは大量生鮮ではなくオーダーメイドにある、
ということでしたり、
舟山様は実はガチャガチャなどに
メチャクチャはまっている時期があった。

など、何を隠そう、私も古着屋をしようと、
ヴィンテージアイテムを激しく収集している時期があり、
第二回戦はコロナが落ち着いたタイミングの飲みの席で、となりました。

また、舟山様の地元の福岡県直方市でしたり、
株式会社2050エナジーの横浜市の新羽など
私も関わり合いのあった場所で事業をされているという点にも
勝手にシンパシーを感じました。

また、残念ながら記事には掲載できませんが、
ディープな内容もたくさんお教えいただきました。

終始、舟山さんの柔らかい物腰と鋭いモノの見方、
そのバランスでいつまでも話を聴かせていただきたい、
そのような時間となりました。

REUSEDも地球業の一翼を担うべく、精進いたします!