今回は東京は新宿御苑、ロンドンを拠点にレコードを切り口にした
カルチャーメイキングをしている「VDS」さんに、
寄稿していただきました、
それではどうぞ!
VDSの考える課題感
中古レコードについて、2015年以降
盛り上がりを見せており、大手リユース店でも
取扱いを強化するところが増えています、
1枚でウン十万円するものも事実ありますが、
確率論でいうと、それはごくごくわずかで、
割合でいうと、再販売の難しい商品の方が多いくらいです
では、買取され、お店でも売れないレコードは
どこに流れ着くのかということを、
皆さん、ご存知でしょうか、
このあまり知られていない、
フォーカスが当てられていない状況が、存在していることを、
問題だと考えています。
今回は、アメリカ、イギリス、に次ぐ世界で三番目にレコードを
保有しているとされている日本の中古レコードの物流にフォーカスを当てます。
日本のレコードの行方
まず、日本でレコードのプレスが始まってから、
演歌、昭和歌謡、フォーク、アイドル、ポップスなどジャンルを問わず、
時代と共に膨大な数のレコードがプレスされ、
そういったレコード達の中には、
2021年の今、市場の需要が低いことから、
再販相場が著しく低いものも多くあります。
それだけではなく、レコードは塩化ビニールという
比較的原料の中でも傷のつきやすい素材の為、
倉庫や、押し入れなどで保管されている方から
レコードの買取があると、
販売できないレベルの傷や、カビがあることなどが多くあります。
そういった、再販することが難しいとジャッジせざるを得ない
中古レコードが世の中に、
どれだけ存在するかという記事が海外の記事でも取り上げられています。
要するに、お店や、ネットに出ているレコードは表向きのレコード、
これらにばかりフォーカスが当たりますが、
裏では廃棄されているレコードがあるということにも目を向けなくてはならない。
ということだと思います。
レコードだけでなくCDも
話は飛びますが、中古レコードのみではなく、
80年代に、「CD」が新しい記録媒体として登場します。
CDについてもレコードと同様で、再販されるものもあれば、
廃棄されるものもあります。
カセットテープ、VHS、DVDなども記録媒体もすべて同様です。
ここで問題になってくるのは、
廃棄された音楽メディアはどこに行ってしまうのか、ということです。
まず、いきつく先は「再生」になります。
今回では全てはお話ししませんが、
多くのCD、レコードはプラスチックと紙というわけ方をされます。
紙は古紙回収、プラスチックは粉砕機で粉々にします。
粉々にしたものを再度高度な機械で加工を加え、
まったく新しいものを作る素材として、1kg〇円という形で扱われます。
こうした作業のほとんどが東南アジアで処理されています。
一部国内で処理をされている業者さんがいらっしゃいますが、
東南アジアで行う理由はコストを抑えるためです。
環境に関する展示会に行った際に、
プラスチック買取可能といううたい文句の
様々な事業者様に声をかけてみましたが、
国内で処理をしている事業者様の回答は
いずれもNOでした、上のコストの最たる要因は人件費
これになります、
素材にしたものは次に、中国などの工場に運ばれ、
そこでプラスチックを原料とする製品へと変わっていきます。
この流れの中で、
各工場で排出される熱、使用される電力、
運送にかかるオイルなどの資源の使用など、
環境に負荷もかかっているわけですね、
一度、資源を使いつくられたものが、
消費されきらず、再度資源を使い、循環させられている、
何かを再生するときには、
再生する工程の中で環境に影響を与えている
ということが今回最も伝えたかったことです。
販売する側、モノを作る側は、
そこまで考えてモノを作っていかないといけない
ということにも繋がってきます。
もちろん買い手についても、
買ったものは大事に使い、安直に捨てない、
それが「つくる責任、つかう責任」に
当てはまる部分かと思います。
そういったことを考えないと、
例えば、アイドルとのの握手券として
CDが販売され、同じCDをファンが何枚も買うことになります、
聴く、という観点でいうと、
1枚で十分であるにも関わらず、です。
そのように大量に出回ったCDについては、
どこのリユースショップでも大体は余剰在庫となり、
さばききることができず、
結果、廃棄に回る形となります
実際に目にされると、皆さん驚かれますね、
「エッ、これ全部?」というように。
アイドル自体が悪いわけではなく、
そのマーケティング手法に問題があると感じます、
CDの売上を上げるために、
握手券と混ぜて同じCDを何枚も販売するという考えは、
我々の考えるところの、
3次流通について何も考えていないということです。
まさに使い捨て経済の典型例とも言えるのではないでしょうか、
新しく商品を作ることは何も悪くないと思いますが、
生産する側は販売することの責任を
常に取っていかないといけないということです。
我々VDSは、2次流通だけではなく、
3次流通にもフォーカスを当てていきます。
中古のレコードを扱う我々は、
経済活動の矛盾、に直面することが多くあります。
理由は様々ですが、不要となった、モノが
市場に流れてくるわけですね、
資源は無限ではなく、限られており、
我々レコードショップが何をできるかと考えると、
まだまだやるべきことは多くあります。
そのやるべきことは一体何なのか。
力を入れて研究を進めていきます。
あれこれと、理論を述べるだけではなく、
自分たちでアクションをとっていきます、
3次流通については今後どこかでお話しできればと思います。
(編集後記)
VDSさんは、私の提唱している「3次流通」という概念に共鳴してくださりまして、
新しい流通の在り方、について、時折意見交換を行っています。
今回の記事とは関係ありませんが、
レコードというモノを媒介として、
面白い仕掛けを色々と計画・実行されている
注目のクルーです!
VDSさんについて
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