~DIY は「祖父母からの贈り物」~DIY MAGAZINEのセイチさんに話を聴いてみた

~DIY は「祖父母からの贈り物」~DIY MAGAZINEのセイチさんに話を聴いてみた

DIY×動画と聞いて、知らない人はいないであろう、
「DIY MAGAZINE」
このチャンネルの主、セイチさん、

実は編集長がはるか昔に鬼教官として、
社会人教育をさせていただいた教え子でもあるのです、

そして今では、同志と言いますか、
尊敬すべき仲間ということで、今回インタビューの場を
設けさせていただきました。

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DIY MAGAZINE

古い家や空き家をDIYで修理していくサイト
diy-magazine.jp

DIY MAGAZINEチャンネル

築40年の家をセルフリノベーションしていく過程を「DIY MAGAZINE」というサイトでまとめています。このチャンネルではDIYに関する動画とそこでの生活を公…
www.youtube.com

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R:REUSED
D:DIY MAGAZINE セイチさん

きっかけは偶然の一言

R:自己紹介をお願いします!
DIYMAGAZINEを始めたのはどのようなきっかけだったんでしょうか?
今は複数拠点で活動をされてるんですよね?

D:中古物件を修繕しながら大阪と福岡で活動をしているDIY MAGAZINEのセイチです。
DIY MAGAZINEをはじめたきっかけは祖父母の家に親戚で集まっていた時ですね、
祖父母がなくなって6年ほど経ったころでしょうか、
親戚の1人が「家も傷んでしまって、もう集まることもなくなるなあ」とポロっと口にしたんです。
それを聞いて、「であれば皆で集まれる場所をつくっちゃえばいいじゃん」と考えたんです。
それこそ自分が小さい時は毎年20、30人くらい集まるような場所でした。
庭でよく遊んでいましたね。幼稚園くらいくらいまでその家に住んでたんですよ。
よくあるじゃないですか、家の柱に身長の線を引いたりして。
自分自身ちょうど独立してなにかやろうと決めていたんですが、何をやるかは決めていませんでした。
まさに人生のターニングポイントでしたね。

R:それでDIYに。。。その親戚の方の一言がなければ。。。
セイチさんは何かをつくる、ということの原体験のようなものはあったんですか?

D:正直、何もなかったですね、唯一興味があったのがインテリアくらいでした。
実家が営む不動産においても空き家が増えていて、空き家活用について考える必要性がありました。
であれば、自分で修繕してみよう!と。それが「DIY MAGAZINE」のスタートです。
最初半年間くらいは周囲の方に「大丈夫か」と言われ続けました、
毎日、朝から晩まで、田舎なので音も気にせず作業に没頭していました。

R:福岡の物件のDIY時期に農業をやっていたと記憶していますが、その後農業はやってるんですか?
オリジナルアイテム(Tシャツ)をつくった経緯についても教えてください!

D:農業は元々親がやっていたので、その手伝いでやりました。なめてましたね、半端なかったです・・・
今も福岡に帰った際には手伝ったりいていますけどね。
Tシャツに関して言うと、動画でYシャツをユニフォームにしていたので
視聴者からはYシャツをつくってほしい、という声を多くいただいていたのですが、
シルエットや質感がイメージに合致するものがなく、
夏の作業にYシャツでは大変、ということもあり、Tシャツにしました。
初回ロット300枚が完売し、追加で700枚ほど作りましたが完売間近です。

R:まさにPtoCですね、デザイナーでも売るのに苦労している時代なのに。。。
DIYする際には、ある程度こうしようというパターンがあるのか、
インスピレーションが下りてくるのを待っているか、だとどんな感じなんですか?

D:物件を見てイメージする、というところには、いちばん時間を使います。
家ごとの特徴をどう生かすか、例えば中古のマンションの場合、
どこを目立たせるか間取りを確認して、DIY後の家のイメージを考えます。

3年間で5件、素人×DIYの進化

R:一番最初の物件は、最初から予算感は見えていたんですか?
結果として、コストをかけずにできた、ということなんでしょうか。

D:予算感はざっくりとは決めていました、結果としてさらに安く抑えられました。
現在でいうと、材料はやはり値段相応だなと感じていますね。
良いモノを使おうとすると、それなりにお金はかかります。
あの物件のDIYについては、あの時のあの感性でなければできなかったと思います。
はじめは電動ドライバーの使い方さえわからず、手動のドライバーで作業していました。
ただ、これは無理だ感じて、電動のものを使うようになりました。
当初はプロの方がたくさんアドバイスをくださりました。

R:何かをやるときに未経験の領域はゴールイメージの壁がある印象なのですが、
どのようにしてその壁を越えているのでしょうか?

D:ゴールイメージの壁ということはあまり考えていないです。
まずはやってみて、分からないことはその場ですぐに調べて解決しています。
例えば、壁に釘を打つ際なども最初は何が正しいのかも分からない、
ただ、コンセプトが素人×DIYなので、
それ自体がリッチなコンテンツになったんですよね。濃厚ですよね。
最初の最初は本当に素人なので、まさに発生することのすべてが素人×DIYそのもの。
今はある程度イメージはわきますね、壁の壊し方や、工期などについても。

R:作業をやりながら途中でのゴールイメージの変更などもありそうですね、

D:ありますよ、取り掛かる際には、「グレーの色にしよう」くらいを考えて作業を始めます、
ここの壁には穴を開けられない、などの問題に直面することも珍しくないので、
何か問題が発生した際にはデザインも一新します。
DIYしているときは楽しいですね。気を使う案件もありますが、基本的には自分の好きなようにやっています。
その中でも1件1件、自分自身が進化できるようにチャレンジしています。
明確なゴールイメージは決めていませんが、
次の物件にはこれ(プロダクト)を使おう、みたいなことは考えていますね。
最近はメーカーさんからの連絡も増えてきています。

R:この数年間は、セイチさん自身振り返られてどんな時間でしたでしょうか。
また、今の自分自身をどのように捉えられていますか?
セイチさんが今の動きを始めてみて感じられたことでしたり、気づいたことなどはありましたか?

D:ずっと作業をしていました。3年で5件を手がけました。
半年に1件ペースで手掛けています。一人でやっているとするとかなり多い部類に入るのではないですかね。
一番変わった部分は知識です。今なら、より良い家が創れます。動画的にも当初はスマホで撮影していましたが、カメラの勉強をしてちゃんとしたカメラで撮影するようになったり、様々な方面で成長はしてきました。

拘りすぎないことも大事

R:気づきの面でいうと、どんなことが挙げられます?

D:法律的に難しい部分が多いということです。
建築、消防、電気、水道、ガス。
法律など守らなくてはいけないことがたくさんあります。
だから動画にする人が少ないのかもしれません。
そこをちゃんと押さえないと問題になりますからね。
しっかり調べてからでないと、リスクが高いです。
案件のお話をいただく中でも、これらの点がハードルを上げますね。
さらに生活における家の存在と考えると、安易なことはできません。
知っておく必要はありますが、ガチガチになりすぎると何もできなくなる。
だから、参入障壁は高いんじゃないですかね。自分の場合はタイミングも良かったです。

R:仕事をするうえでのこだわりはなんですか?
お気に入りの道具などについてもお教えください!

D:拘り過ぎないということです。、7,8割まとまればOK。
手を抜いていいというわけではもちろんありませんが、
必要以上に細かい部分にまで、手をかける必要はないと考えています。
お気にいりの道具はマルノコです。これ実は左利き用なんですよ。
活動初期に買って、何か木くずがやたらと自分にかかるなぁと感じていたところ、
「それ左利き用だよ」とプロからご指摘いただいて気づきました。
ただ、けがの功名というか、木材を加工する際に刃が見えやすいんですよね。
相変わらず、木くずはかかりますが。。。

R:DIYの醍醐味についてもコメントお願いします!

D:DIYの醍醐味は形に残るというところですかね。
苦労はするかもしれませんが、やっていけばいずれは完成します。自分自身は毎度大満足です。
その中でも自分なりのこだわりは大事かもしれませんね。
例えば、壁紙って、部屋の表情をつくるにあたっての影響度が高いわけですが、
サンプルだけだとなかなかイメージしきれず、準備していたものが
なんとなく部屋のイメージに合わない、なんてこともあります。
私の場合は、そういったときには壁紙も買い直します。

R:動画自体は編集されてコンパクトになっていますが、
行間にあたるような、なかなか動画には出ないけど、
タフなこととかってあるんですか?

D:廃棄ですね、素材ごとにわけて
素材ごとに捨てないといけないんですよね、
保管場所をもっているわけではないので、日ごとに素材をかけて廃棄に行っています。
ある時は廃棄場所のスタッフさんに、
「DIY MAGAZINEの方ですか?」なんて声をかけられて驚きました。
ユニフォームを見て、気づいてくださったみたいです

服を買うなら木を買いたい

R:もはや有名人ですね!
ホームセンターのプロにもなったんじゃないですか?

D:ホームセンターは楽しいですよ!服買うなら木を買いに行きたいです。
結構ホームセンターでアイデアについて考えるんですよ。
棚の素材にこれ使おうかな、など。
サイズだけある程度図っておいて、ホームセンターでイメージを具体的にしていきます。
大阪だとコーナンプロで福岡だとハンズマンによく行きますね。
DIYやっていると大工さんへのリスペクトが半端なくなります。
仕事が早いし、めちゃくちゃ綺麗なんですよね。
ホームセンターって、何でもあるんですよ、
つい最近は建具を買いました。どうやって買おうかと悩んでいたんですが、
ホームセンターに行ったらあっさりありました。ホームセンターすげぇってなった。
木というところでいうと、私は広葉樹、針葉樹は特に問わないですね。

R:インスピレーションなどは何から着想を得ているのですか?

D:インスピレーションか~、あまり考えたことはなかったですが、
まちを歩く中で、店舗でしたり、あとはホテルでしたり、色々と観察していますね。
DIYをしているからこその目線で見れているのかもしれません。
それが、物件に取り掛かる際のイメージ力にも活きているかな。

R:少し話題を変えまして、コロナ禍になり、「おうち●●」なんてコンテンツも多く生まれました。
セイチさんにはコロナは何かしらの影響を及ぼしましたか?
個人的には、これまではある種時間をお金で買う的な消費が多かった中、
時間ができたことで、皆生活を見つめなおすきっかけにもなったのかなと。

D:視聴回数はメチャクチャ伸びましたよ。
DIYが流行って、ホームセンターの売り上げも伸びていましたしね。
ただ、収益という観点でいうと広告の出稿元が減ったので、減りました。
最近それがようやく戻ってきましたね。
おうち時間がトレンドになってきたタイミングで、
「僕の「リノベ暮らし」」というコンテンツも配信し始めました。

R:DIY MAGAZINEはどんな方々が視聴されているんですか?

D:家に興味のある人が10万人、年齢層はだいたい20後半~50代くらいですかね。
それ以外は動画が面白くて見ているという方々かなと。まとめ動画のファンもいますね。
「DIY始めました」なんてコメントをいただけると本当にうれしいです!

バリでDIY

R:「DIY始めました」、そりゃ嬉しいわ!
その他に最近嬉しかったことについても教えてください!

D:オートミールを食べ始めたんですが、
オートミールにお茶漬けの素をかけるとめちゃくちゃおいしいんですよ!
それに気が付いたことが最近嬉しかった。
健康に気を付けようと始めたのですが、朝の目覚めもいいですね!
仕事と関係ない話になっちゃいましたが・・・
DIYがらみでいうと、今日、取材を受けているこの場所(大阪の物件)
がようやく完成したことですね。

R:いやいや、健康は大事ですよ!
動画を見てると、身体を動かしているので、健康なイメージでした。

D:DIYの作業ベースの部分が終わると、その後は動画編集に入ります、
まとめ動画をつくる際にも、動画に合う音楽を探したり、
一度できた動画も見てしっくりこなければ、またイチからやり直したり、
一定期間は動画作成に張り付いているので、体調管理が大事なんですよ、
動画制作自体はメチャクチャ好きですけどね、
映像が形になるのが面白いですし、

R:私はまだオートミールはチャレンジしてないなぁ・・・
セイチさんの今後の野望についても教えてください!
また、現在は富士登山に例えると何合目くらいですか?

D:海外でやってみたいんですよね、DIYを。
バリなどのリゾート地でやりたいんです。
富士登山でいうと、毎回10合目まで登頂して
また、1合目から、それの繰り返しなんです、
毎度、ゼロベースで新しいことにチャレンジしていますので。
次の6件目の物件もどんな山に登ろうかなと思案中です。
行ったことのない場所にいって、現地の空気に触れて、
今までとは違った角度から考えてみたいですね、

R:確かに事業においても、イノベーションなどを起こす際に、
範囲外に出ると言いますか、旅は良い、なんて言いますしね、
最後にセイチさんにとってのDIYとは???

D:ひょんな一言をきっかけに今の自分がいるわけですが、
そのきっかけを与えてくれたのは、祖父母なんですね、
私にとってのDIYは「祖父母からの贈り物」です!

(編集後記)

最近、自分のパーソナリティを表現する際に、
「タグ」という表現がなされます、

セイチさんの場合は、「DIY」「動画制作」
いやいや何より強いタグ「DIY MAGAZINE」があるわけですが、
「DIY」×「動画制作」
つまり、DIYを行い、自ら動画を制作することで、
温度感や質感、何を一番どのような雰囲気で伝えたいか、
を正確に表現できるわけで、
「DIY」「動画制作」を個別には
セイチさんより技術的にはうまくできるヒトもいるかもしれませんが、
それらを合わせたときのDIY MAGAZINEのパワー
を超えることはできないと思います、

また、Youtube に 本格的な DIY 動画 を 上げている ユーザー が いない 時期 に
DIYerとしての階段を一気に駆け上がった、
まさに「先行者」としてのタグもオンされます、

何より、いまだに楽しんでDIYをしていること、
努力は夢中に勝てない、といいますが、
DIYに夢中なセイチさん、いやセイチくんの活躍が今後も楽しみです!