今回はREUSEDのオーナーでもある私の
大学時代の友人でもあり、
1人暮らしが当たり前の当時、
家族のような存在でもあった、
今は地元の富山に戻り、
様々な取組をされている山村さんに
話を聴いてみました、
(山村さんというのはムズかゆい・・・
当時は「ケンジ」って呼んでました・・・)
実は共通のこれまた家族のような存在でもある
親友の結婚式で会って以来
10年とはいかないまでも、かなり久しぶりの
再会がこの取材となりました、
オンラインで行わせていただき、
オンライン化した世の中に感謝を感じたヒトトキ
R:REUSED
Y:山村さん
射水市役所地域振興・文化課・主任&CoderDojo富山の共同代表&「全国通訳案内士」のケンさんに聴いてみた
R:自己紹介からお願いします!
Y:山村賢志といいます。今は地元の富山県の射水市
というところで、公務員をしています。
肩書としては、射水市役所地域振興・文化課・主任
となってまして、文化施設の管理などを行っています。
個人としては、CoderDojo富山の共同代表でもあります。
施設の管理だけでなくて、そこで開催されるイベント
にもできるだけ参加するようにしてまして、
今日もさっきまで、影絵のワークショップに参加していました
R:世界的な取組でもあるCoderDojo富山の代表ということについてですが、
どのようなきっかけで始めたんですか?
Y:富山に戻ってきて感じたのが、ヒトの縁の希薄さでした、
人口も減ってますし、自分自身の親も年を重ねてきていて、
ヒトの縁を大切に、お互いがお互いを助けあえる、
そんなコミュニティづくりをできないか、と思ったのがきっかけですね、
あとは、自分自身が大学の時の留学先で、皆プログラミングを
履修していたのですが、自分はその余裕がなく、それがずっと、
心の中でくすぶっていた、ということも挙げられますかね、
R:めっちゃ素敵な話やーん、ですね、実際にどのような方々が
参加されているんですか?
Y:小学生からご高齢の方まで幅広いですよ、
学生さんがご高齢の方にレクチャーしたりしている姿を見て
嬉しく感じていますね、上から教えるのではなく、
下から教える、その優しさがたまらないですね、
R:まさにリカレント教育、理想的な生涯学習ですね!
お仕事の方では、これまでどのような事を
手がけられてきたんですか?
Y:都市計画マスタープランの作成や、企業の誘致などを
行ってきました、都市計画というのは、道路や鉄道をどこに通すか、
そのうえで、都市をどのように創り上げるか、という計画です、
その都市計画の中に夢を詰め込むわけですが、それが現実でいうと
なかなか実現はしにくい、そのジレンマもありましたね、
企業誘致も誘致がゴールになるとサステナブルとは言い難い、
多くの葛藤がありましたね、
世界の観光地にひけをとらない地元の景色
R:民間にいる自分からは想像できない、事情があるんですね、
富山に戻られて、他に感じたことなどはありましたか?
Y:富山の人はよく「何もない」と言うんですが、外に出て久々に帰ってくると、
富山に深い豊かさを感じるようになりました。
例えば、NZに留学した当時に、世界的に人気のあった現地の景観があるのですが、
それと比べても、まったくひけをとらないと、ひいき目抜きにも感じました。
それが実家から徒歩数分で見られる環境って、すごいな、と。
と同時に、なぜ、自分の地元である上市町は、ポテンシャルがあるにも関わらず
観光地にはなっていないのだろう、という疑問を感じるようになりました。
R:確かに、ここはすごい!と個人的に感じる風景ってありますよね、
自分の親の出身地も地方にあるのですが、とても自然豊かで空気は澄んでいて、
眺望も綺麗で、ワーケーションの文脈含めて、もっと人が来てもいいのに
と感じます、実際は、駅も無人駅になるなど、来訪者は減っていそうです。。。
そこは自治体全体としての魅力の発信も必要ですね。
Y:確かにそうですね、今はヒトの興味関心も多岐にわたりますし、
膨大な情報が黙っていても発信されています。
以前でいうと、地域のお祭りなどは皆が集まる場でした、
ただ、今は情報を得ることも簡単で、車さえあれば、
ある程度どこへもいける、つまり娯楽の選択肢が増えたことで、
地方都市が空洞化している、ということも、富山のヒトに何もないと感じさせている
要因になっているかもしれません。ないモノに目を向けるのではなく、
有るものがフォーカスを浴びるように、
行政としてもアクションしていかなくてはなりません。
都市計画でワークショップをした際にも、参加者はご高齢の方が多かったです、
若者がくることはほとんど皆無でしたね、
R:日本の多くの地方都市で同様のことが起こっているのかも
しれませんね、
Y:ただ、状況を悲観していても何も生まれないので、
「自分で創る」という発想になりました、依存心がなくなりました、
例えば、うちの妻もお寺でヨガ、禅、アーユルヴェーダのワークショップを
催していたり、そこで音楽とのコラボをしたり、と、
志ある人たちとのつながりが少しずつ生まれてきています、
R:ないものは創る、ベンチャー的発想ですね、素晴らしい、
少し話題を変えて、SDGsなどの動きについて富山はいかがですか?
Y:SDGsの言葉自体は、じいちゃん、ばぁちゃんでも知ってますね、
今だと、それを啓発しているのは、マルシェだったり、行政だったりで、
まだまだ、全方位的には拡がっていませんかね、
R:ケンさん自身が意識していることってありますか?
Y:プラスチック製品は使いたくないな~って、感じることが増えましたね、
あとは、家庭菜園用にコンポストを設置しています、
食育って、本当に素晴らしいですよ、
R:それは自分も農業を初めて感じています、
激しく共感ですね!
Y:食への感謝というところでいうと、
禅も少し行ってまして、目の前の食べ物に全集中し、
食べ物に対する感謝のため、食前にお経を唱えたり、
感覚を研ぎ澄ませていく中で、
その食べ物がどう育てられられたのか、育てた人たちは
幸せに暮らしているのだろうか、など、
食べ物の起源についても関心を持つようになってきましたね、
「全国通訳案内士」
R:深いな~、実に深い、深海3000メートルって感じですね・・・
いかんいかん、つい横道に・・・
色々と行動している
ケンさんの最近のマイブームについて教えてください
Y:最近はレトロパソコンですね、それには理由があって、
今、サーキュラーエコノミーの文脈の中で修理する権利が
欧州中心に叫ばれていますが、修理するためにはまずは
構造を知らないといけない、実際にやってみると
結構簡単で、安いPCを買って、SSDを入れれば、
道場で使う分には申し分ないPCが出来上がります、
R:行政としては、何か取組はしているんですか?
Y:地方自治体には総合計画というものがあります。
現状は、とる行動に合わせて後付けでSDGsを当てはめている
というのが実際のところで、まだまだこれからですね、
農業、漁業、里山などの財産が富山にはあります、
それらを活用できないかと、聞かれれば常に提案書は出して
タイミングをうかがっています。
過疎地の耕作放棄された段々畑も、庭師と相談して、
アートを楽しみながら作業できる畑にできないか、なんて考えてます。
R:全国的に、コロナを機にDXを進めようという
トレンドがあったかと思いますが、
実際のところはどうなんですか?
Y:今、自分が管理している文化ホールにおいて、
コロナ禍でオンライン配信をしたいわけなんですよね、
ただ、Wifiが無くて、オンライン配信できないんです、
それが実情です。道場をしているのには、コミュニティづくり以外にも目的がありまして、
ドーナツ化している旧市街地の空き屋をテクノロジーを活用して、
企業のサテライトオフィスなどの経済活動などの拠点にできないか、
そのために自分自身がテクノロジーについて知る必要がある、そのためです。
R:街をどのように活用するか、は日本各地で課題になっているでしょうね。
テクノロジーという文明の利器の出番かもしれませんね。
ケンさんはそのほかにも少し珍しい資格をとってましたよね?
Y:富山では絶滅危惧種の英語の「全国通訳案内士」という国家資格をもってて、
超ご先輩方たちと富山のインバウンド振興のための活動もしているんです。
この資格自体は結構歴史があって、1950年ごろに、通訳で収入を得ながら旅ができる、
そのような建付けで、設けられた資格なんです。
通訳で収入を得る、通訳のプロフェッショナルになるための資格ですね。
R:「全国通訳案内士」って、初めて聞きました!国家資格なんですね、
ハードルはどれくらい高いんですか?んで、超ご先輩方ってことですが、
ケンさんも若手に入るんですか?
Y:自分は2015年に取る、と決めて4年ほどはかかりましたね、
最近の合格率は10%前後で結構難しい資格なんです。
おそらく、資格ができるタイミングで、インテリジェンス等により
ヒトの選別をする必要があったんでしょうね、
ただ、確か2018年でしたかね、この資格がなくても、
通訳で収入を得る、ということはできるようになりました、
資格保持者はリタイア後に取得されるケースが多くて、
40歳代でも最年少、そんな感じですね。
R:資格を目指している間に変化が起こったわけですね、、、
インバウンド振興という話が出ましたが、実際にはどのような活動を
行われているんですか?
Y:富山に外国の要人がお越しになられた際の通訳というのが、分かりやすいところで、
その他でいうと、上市町という私の地元の良さを発信するパンフレットの制作の中で
外国人のゲストをアテンドしたり、また、全国的にも有名な立山黒部アルペンルートに
登山に来る、主に台湾のお客様にはなりますが、そういった方々の案内になります、
台湾の話は実際のところは、コロナの影響でストップしていますが・・・
R:富山のインバウンド誘致の熱量はどんな感じなんですか?
Y:富山はインバウンド誘致もなかなか進んでおらず、その原因の1つが通訳の不足
だと思います、通訳がいないことで、
インバウンド誘致を現場レベルで積極化できず、
インバウンド誘致を進めないと、通訳のニーズが増えずに、資格の取得者も増えない、
制度の現実の矛盾を解決するために、資格なしでも可となったんだと思います。
これによって、インバウンドが活性化すると嬉しいです!
R:枠組みが成長を阻害する、という構造は別の領域でもありますね。。。
話戻しまして、そんな苦労をしてまで、「全国通訳案内士」を
とった、その理由は何になるんですか?
Y:公務員の働き方開拓ですね!改革も大事ですが、「開拓」です。
もちろん、ルールはありますので、
そのルールを守ったうえで、という形にはなりますが、
働き方の可能性はその中でも拡げられるよ、ということを自分自身が体現することで、
生き生きとした公務員を富山の中で増やしたいと考えています。
自分の能力を余すところなく富山のために使いたいんですよね、
元々英語が得意でしたので、その英語を活かすためにも、
客観的に見て分かりやすい、肩書を得ることが必要と考えて取得しました
R:名前に志と入っているケンさんの志をバシバシと感じました、
最後にケンさんの行動の源について教えてください
Y:自分の行動の源は、「世界平和」です!
「世界平和」から考えて、その単位をどんどん小さくしていきます、
その単位が自分事サイズになったときに、やるべきこと、
と心から感じられることをやるようにしています!
(編集後記)
久々に話したケンさんの在り方は、
以前と全く変わっておらず、素敵な大人になってました、
取材も当初は1時間予定のところ、つもる話もあり、
2時間以上はお話してました。
文化ホールのロビーからオンラインをつないでいたのですが、
途中、蛍の光の音楽が激しくなる(閉館するということですね)などの
プチハプニングもありましたが、ケンさんの志に激しく同意いたしました、
と同時に、おそらくこのような志をもった公務員の方が日本各地にいるんだろうな、
また、そういった方々と力を合わせて何かを行いたい、そう感じました。