【前編】東京は「再生資源の宝庫」~GOOD DEAL COMPANYの北村さんに聴いてみた

【前編】東京は「再生資源の宝庫」~GOOD DEAL COMPANYの北村さんに聴いてみた

今回はGOOD DEAL COMPANYの北村さんです。

北村さんが扱われるのは、「コルク」
ワイン好きの方にはおなじみのアイテムですよね。

東京を「再生資源の宝庫」と再定義する
TAKYO CORK PROJECT、再資源化されたコルクを
使用してつくられた製品を取り扱うECサイトなど、精力的に活動をされています。
現在に至る経緯などを質問させていただきました。

University of Creativity 登壇時 2021/12/4

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GOOD DEAL COMPANY

gooddealcompany.tokyo

TOKYO CORK PROJECT

tokyocorkproject.jp

THE TOKYO CORK

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R:REUSED
G:GOOL DEAL COMPANY 北村さん

皮をはぐのは9年に一度、素材として使われるまで33年かかるコルク

R:かんたんな自己紹介をお願いします!ご経歴についてもお教えください。

G:北村真吾といいます。1983年、茨城生まれです。
今の仕事の前には不動産ディベロッパーとして、土地の入手から開発まで、その後は飲食業界に入りました。
理由としては、お客様と関わるのが好きで、目の前でお客様が喜んでいる時間が
一番長い産業はなんだろうかと考えたことが理由です。、
その際に、フードロス、廃棄物がたくさん出ていたり、水を多く使ったり、
サービスの中で環とのトレードオフが多く生じていることに葛藤を感じまして、
その中からポジティブな取り組みができればと思い、コルクをテーマにすることにしたんです。

R:最初からコルクだったんですか?

G:私が関わっていた飲食店はコルク1つ1つをその場ではなく、1か月貯めて捨てていました。
すると、それなりの量になるわけなんですよね、
当時2010ごろですかね、立ち飲みのワインバーが国内でもはやり始めていて、
国内の飲食店から出てくるコルクの数も増えるだろう、と、
そこで海外の事例なども参考に、日本でも循環資源を活用して何かできないかと考えたんですよね。

R:今更ですが、コルクについて教えてください!

G:コルク樫って、世界でもポルトガル、スペインの地中海沿岸でしか育たないんですよ
ポルトガル50、スペイン30くらいの割合ですね。そして育てるのが難しいんです。
さらに初めて素材として使えるようになるまで33年もかかるんですよ。樹齢200年、
木の皮をはいでつくるんですね。
木を伐採しないということで、
砂漠化の防止や生態系の保護に役立つともいわれており、管理も厳格になされています。
皮をはぐのも9年に一度など。

R:一気にコルクに詳しくなった気がします、そんなに手間暇かかっているものなんですね、

G:そうですね、世界的に見るとコルク材は注目を浴びており、2017~2018年に価格が高騰しました、
おそらくこれからも単価は上がると思います。ちなみに昨年、コルク産業では過去最高益だったみたいです。
世界中の限られた場所でしか育たないとなると価値は上がりますよね。
需給や為替、エネルギーコストなどにより相場は変動しますが。

R:御社の事業についてもご紹介ください!
コルクを題材に事業を始められた経緯についてもお教えください!
また、様々な生みの苦労もおありだったかと想定されますが、
お話いただける範囲で、苦労されたことについてもお教えください!

G:苦労した点でいうと、始めた当初は時代的にも環境事業=慈善活動のような見られ方をされており、
ビジコン、プレゼンに出ても、厳しい意見が多かったです。それってお金になるの?のような。
お金にすることが難しくても、世の中的に必要なことってあるよな、ということはいつも考えています
コルク産業自体は小さな産業で、原料から素材までつくれるのが日本で3社くらいしかありません。
仮にコルク栓を回収したとして、それを活用できるのもその3社しかないため、関係性を気づくのにパワーを使いました。
限られた企業がシェアを守り続けていたので、イノベーションもおきづらく、海外での事例を紹介しても、
国内は国内といった状況でした。見られ方なども含めて潮目が変わったのは2018年ころからですかね。

R:THE TOKYO CORKのサイトには、様々なアイテムが掲載されていますが、
これらはどのようにして生み出されているのでしょうか?

G:スツールは自身の設計で、以外のものについては、デザイナーさんに素材を提供して、
それをどのような商品にするのかは、デザイナーさんにゆだねています。
コルクでコースターのようなコモデティから、ワンちゃんネコちゃんアイテム、インテリア、積み木と
深堀していくというよりは、コルクでできることの幅を広げています。
リサイクルだから買ってくれ、ではなくて、たまたま良いと思ったものが結果としてリサイクルアイテムだったそういう順番がいいですね。

行動力の源泉は意地

R:モノづくり、は日本の優れた文化の一つであると私は感じています。
そのあたりについて北村さんのお考えをお教えください!

G:近年、個人的には日本のモノづくりが失われつつあると、様々な現場を見て感じます。
脈々と受け継がれた技術は尊敬しますし、見るのも好きです、
だから、今の時代の大量生産大量消費の波になかなか勝てないように見えることは残念です。
また、例えば、日本に一人しかいない職人さんも使用している材料身体への影響等を考えて、
跡継ぎをつくらない、という決断をされる、というようなこともあるみたいですね。
職人さんという生業は、日本人の気質にはあっていると感じますが。

R:特に跡継ぎの部分は難しいですよね、ご本人は最後の1人になるおつもりで
その仕事に就かれたわけでもないでしょうしね。

G:今後はどういったものにお金を使いたいか、という価値観が育ち、
そのようなモノ一つ一つの良さが伝わると良いですね。
そして顔が見える方がいいですよね、洋服も食べる物も、
世の中のものでも大抵のモノはボタンを押してバチンとできるわけではなく、
どこかで何かしらの形でヒトが携わっているはずです。
例えば、時間があるときには週末茨城で農作業を手伝っています。
農家さんの何が大変かって、非常に地道な雑草取りなどなんですよね、
その様子を見ると、何一つ無駄にはできませんよね。
フードロスへの理解にもつながりますし、皆農業をすべし!
のような制度があってもいいと思うくらいです(笑)

R:私も靴づくりをしているので感じるのですが、
モノづくりはプロセスにこそ、価値が詰め込まれていると感じますね。。。
北村さんが事業をされる中で、大事にされていること、
考え方についてお教えください!
また、北村さんの行動の源泉がどこにあるのかもお教えください!

G:事業で大切にしていることは、経済合理性のみで判断しないということですね。
このコルクのPJでもオープンイノベーションなどで競争ではなく、共創という形で、
世の中を幸せにできるか、それを考えています。
源泉でいうと、90パーセントは意地です(笑)自分自身、腑落ちしないとできない性格でして、
シンプルに自分のやりたいことをやっているだけなんですよ。