社会貢献型ローリングストックをご存じでしょうか。PR TIMESでその記事を見て、是非話を聴いてみたいということで取材の依頼をし、快諾をいただき、Ginger Lab(ジンジャーラボ) の代表取締役社長流郷さんにお話を聴くことができました。流郷さんは親会社のスパイスファクトリーの取締役CSOも務めておられ、スパイスファクトリーさんの在り方も含めて知ることができる貴重な機会となりました。

Ginger Lab株式会社さまHP
スパイスファクトリー株式会社さまHP
社会貢献型防災備蓄食「KIBOU CURRY」、経済産業省後援「第20回キッズデザイン賞」安全・安心向上部門を受賞
G. Ginger Lab流郷さま
R.REUSED
「希望の循環」を実現する人間らしい会社
R.まずは自己紹介と御社のご紹介をお願いいたします!
G.流郷です。Ginger Labの代表と、親会社のスパイスファクトリーのCSOをしています。前職では昆虫テクノロジーを用いたバイオベンチャー企業である株式会社ムスカのCEOをしていました。「ごみ」というものはきっとない、というのが私の考え方で、サステナビリティやSDGsに関わる仕事をしてきて、スパイスファクトリーのCSOになって5年ほど経ちます。親会社はDX・AX支援企業なのですが創業10周年を迎えるにあたり、システム開発以外の新規事業をつくるためにGinger Labをつくりました。スパイスファクトリーは10周年を機に新しいビジョン「希望の循環」を掲げ、Ginger Labは希望の循環を社会実装することがミッションの会社です。
R.流郷さんの大事にされていることや御社の社風についてもお教えいただけますと幸いです!
G.私の仕事の軸は、「自分の子どもが80歳になったときに、今自分がやっていることが面白いか」にあります。それを考えるきっかけとなったのが、仕事を受けすぎたことにより体調を崩したことです。自分の子どもが80歳になる頃には孫もいるかもしれない。その頃になっても、今自分がやっていることが面白いとされるものか、ですね。
スパイスファクトリーは、元々4人のエンジニアが和気あいあいと立ち上げた会社なんですよね。「1ピクセルずつ、世界をより良いものにする」というパーパスを掲げる弊社ではインターネット上のモノづくりに対してもプライドをもって取り組んでいます。妥協しない、わがままな、人間らしい会社ですね。
R.スパイスファクトリーさんに入られたきっかけはどのようなものだったのでしょうか。
G.スパイスファクトリーはITスタートアップなのに、アーリーフェーズから積極的にCSR活動をしていました。入社前に私に仕事の依頼が来た理由も「SDGs17項目に対しての、自らが進めていることへのSDGsウォッシュのようなことをしてないかのネガティブチェックをしてほしい」というものでした。非常に興味深かったので、CEOに一度話を聴いてみました。当時(2021年)は20、30名くらいだったのですが、その時からSDGs17項目に対して自分たちが事業で関わることができないところには寄付をされていました。最初は非常勤から関わるようになったのですが、(先ほど述べたネガティブチェックでは特にネガティブなことはありませんでした。)ただ、そこで立ち止まるのではなくグリーン消費などを積極的に進めていました。以前、5階建の小さなビルに入居していた時はトイレットペーパーなども自分たちで手配する必要があったのですが、その際にもグリーン消費を徹底していましたね。
きっかけは「カレー屋さん」に間違われたこと。間違いでも取り組むなら世界をよくするために
R.決して容易ではない領域で事業をしておられる印象なのですが、なぜその領域で事業をするとお決めになられたのでしょうか。
G.元々、弊社(スパイスファクトリー)は、カレー屋さんによく間違われるんです。同じ名称のカレー屋さんも実際にありますし。であれば、いっそのことカレーをつくりたいね、という話が出て、ただし、つくるのであれば我々がつくる理由をしっかりと考えなくてはならない。自分たちがつくるカレーは世界の何かをよくする必要がある。SDGsに「つくる責任 つかう責任」がありますが、革製品のお店であればリペアをしていますよね。新しいものを世に出すということは同時に出したものに対する責任をとらなくてはならない。高木さん(スパイスファクトリー代表取締役CEO)か私かどちらが先に言い出したのかは忘れましたが、結果的に生まれたのが社会貢献型ローリングストックという事業モデルです。
社会性、経済性の両立を大事にしており、何一つあきらめない。そんな事業を世の中に社会実装したいという思いです。

R.なぜKIBOU CURRYというネーミングにされたのかも含めてお教えいただきたいです。
G.なぜ、私たちは“希望の循環”を描くのか。― スパイスファクトリー、“次の10年”の選択
こちらのメッセージをお読みいただきたいのですが、先ほども述べさせていただいた「希望の循環」。スパイスファクトリーは100名ほどの会社ですし、大企業のように巨大な資本をもっているわけではありません。ただし、微力であったとしても我々のチャレンジが不安を抱える誰かの希望につながります。1ピクセルずつでも世界をより良くしていこう、そのような意志も込められています。
R.石川県金沢市の三徳屋株式会社さまとは、どのような経緯で協働されることになったのでしょうか。
G.想いをもったプロダクトをどの会社さまとつくろうかとリサーチしていたところ、弊社内に石川県(能登)出身のメンバーがおり、金沢の復興という文脈も含めて、色々な縁が重なりました。直接メンバーが三徳屋さんを訪問させていただき、我々の想いをくみ取ってくださり、一緒に進めさせていただくことになりました。
笑顔につながる支援に貢献する社会貢献型ローリングストックモデル
R.社会貢献型ローリングストックモデルについてもお教えいただきたいです。
G.ローリングストックというのは、基本的に自分で買って、自分で食べてと自分自身でモノを買い足す仕組みです。自身だけにとどまらず、社会に範囲を広げるという感覚を持っていただけるといいのですが。企業、自治体に備蓄品として5年ほど賞味期限のある「KIBOU CURRY」をご購入いただき、我々が期限を管理します。そして期限の1年前に回収させていただく。この1年前というのがポイントだなと思っていまして、というのも回収されたモノが受け取る方に届くまでには仕分けなどの時間が一定かかるんですね。支援する側の方が優先順位を考えて振り分けを行うわけです。寄付については、一般的に期限の2、3か月前あたりのモノというのがありますが、それだと食糧支援を行う方々も配分に十分な時間をかけることができません。備蓄品をフードロス削減の一環で寄付しているところはありますが、社会貢献型ローリングストックと言っているのはうちくらいではないでしょうか。

R.寄付にも課題があるそうですね。
G.防災食には「味」という点で美味しいとはいえないものもあります。支援を受ける方の中には、さまざまな事情により、日々の生活の中で不安や負担を感じている方もおられます。そのような方々が美味しいとはいえないモノを受け取っても笑顔にはならない。そんな話を支援者団体側のお話を聞くこともあり、愛のある、美味しいと感じられ、食べると笑顔になれるもの出さないといけないと思っています。そもそも非常食の寄付はお断りされている団体もおられます。自分たちも美味しいと思えるモノを寄付してこそ、支援を受ける側の方も笑顔になりますし、それがめぐりめぐって自分たちの企業価値にもつながります。一貫性のある行動こそが企業価値につながります。
R.複数の社会課題に同時に訴求するという、流郷さまのその構想力はどこから生まれているのでしょうか。
G.若者の孤立支援を行う認定NPO法人さんの食料倉庫を見学させていただいた際に、ひと箱ずつ若者の状況に合わせて、食品を選び梱包されている現場を目の当たりにしました。こんなに大変なことをしながら支援をされているのか、ということに気づきました日本は残念なことに10代の死因の第一位は自殺です。スパイスファクトリー代表取締役CEOの高木も日本が世界において、どの領域で1位になったとしても、希望しかない年齢である10代の子どもが希望を持てていない状況において、胸を張れるだろうかと。孤立や孤独をなくさなくてはなりません。様々なところで孤立、孤独の問題が弊害を起こしています。
POP UPでの新しい気づきと喜び
R.最近あった嬉しかったエピソードなどあればお教えいただきたいです!TiB SHOPでの来場者さまの反応はいかがでしょうか。
G.まさに今日(インタビュー当日)、嬉しい報告がありました。TiBのショップに立っていると障がいをお持ちのお子さんの親御さんが来られたそうで、これだったらうちの子でも食べられそう。子どもが行っている施設の方にも紹介したい、と10食ほど買ってくださいました。うちのカレーは1歳から食べられるようにつくられているんです。紹介したいといっていただけることがとても嬉しいですし。そのような商品をつくれたことに誇りを持っています。そのことを社内のSlack(コミュニケーションツール)の分報(つぶやき、のようなもの)にも思わず投稿してしまいました。有事の際に障がいのある方やご高齢の方は食の面で困ることがあるようで、能登のお祭りでカレーを提供させていただいた際にも同じことを言われました。硬いものは食べられないので、被災したときにこのKIBOU CURRYがあったらよかったと。
R.ユーザーイノベーションと言いますか、やはりお客さまと直接接することで様々な気づきがありそうですね。
G.そうですね。元々は子どもの食糧支援がベースではありますが、高齢者施設にも需要があるということにも気づきました。また、個人向けにも販売してほしい、という声をくださる方がおられ、個人向けの販売については元々社内でも声はありましたが、ふらっと来てくださった方にそう言っていただけたことで改めて必要性を感じました。うちは元々DX支援企業なので、個人向けの販売ページもすぐに作ることができます。いい出会いといい話をたくさんいただいていて、感謝しています。特に個人の方には想いが詰まったモノの方が手に取っていただける、ということも分かりました。
KIBOU CURRY ECサイト:http://ec.kibou-curry.com
希望の循環デザイナー創造業
R.Ginger Labさまを〇〇業(一般的な産業分類ではない)と表現すると、何業になりますでしょうか?
G.希望の循環デザイナー業でしょうか。子ども向けのワークショップで希望の循環デザイナーの認定証をお渡しするなども行っています。希望の循環を社会実装し、まわしていくためには希望の循環デザイナーが必要ですからね。
参考:Ginger Lab、8月29日開催「みらいのたからばこスポーツエディション in SAGA」に参画
R.2030年がSDGsのゴールイヤーとなっております。2030年をどのように迎えられると御社にとってハッピーでしょうか。今後の展望も含めて是非、お教えください。
G.KIBOU CURRYが事業になっていて、Ginger Labの中でも希望の循環を社会実装できるプロダクトが他にも出し続けられている状態です。大人が生き生きとしていることで、大人になることを面白いと子どもたちが感じてくれる。身近な大人が生き生きとしていることが子どもにとっては希望になります。子どもが色々な大人に出会える環境もつくりだしたいです。
(編集後記)
スパイスファクトリーさま、Ginger Labさま、の社風がとても伝わるインタビューでした。人間らしさ、一貫性などのお言葉もありましたが、いい意味で愚直と言いますか、不器用と言いますか、自分たちの発言やプロダクトにおいても一貫して責任感をもたれている。だからこそ、自分たちの仕事にプライドが生まれ、それが社会における価値を生み出し、企業価値にもつながっていく。スパイスファクトリーさま、Ginger Labさまが希望の循環、希望の循環デザイナーのエコシステムを構築される日も遠くないのではないでしょうか!1ピクセルずつ、世界をより良いものにする、この素晴らしいパーパスを実際に行動に移されていることにしびれました!

