▼前回のおさらい
前編に引き続き、前回は、CMJさんのスタンスでしたり、エンジニアをはじめとする人財育成、
修理時に苦労されている点など、修理サービスを提供されているCMJさんのリアル、
オーディオ修理にも見られる業界の改善点など、について、様々な話をお聞かせいただきました。
そしていよいよ最終回、前回の流れで深堀する部分と今後の野望、
そのあたりを聞いてみます!
R:REUSED
C:CMJさん
▼CMJさんに聞いてみた
R:業界の課題点でもある技術の継承について、
オーディオ業界に限らず、職人さんの技って、ブラックボックス化しそうですもんね、たしかに。
伝統工芸などもそれにあたるかもしれませんが、経験を経て培われた技術が1代限り、というのは
さみしい気がしますね。。。
C:そうですよね、職人さんは元々、教える、ということにも慣れていないんですよね、
「目で見て盗め」ではないですが、最悪目で見ることができれば、ヒントは得られますが、
引退して、表に出なくなると、ヒントさえつかめなくなってしまうんです。
結果として、メーカー自体も修理対応できなくなってしまう・・・
それは我々からすると大いなるペインですね・・・
R:修理の際に様々な商品に触れられると思うのですが、
CMJさんからして、構造が優れている、というメーカーさんはどのようなメーカーさんですか?
C:少しそれてしまうかもしれませんが、二つあると考えています。
1つはつくりが丁寧であるもの、これは日本国内のメーカーに多いです。
もう1つは、つくりはグチャグチャだが、音については抜群にいい、というもので海外のメーカーに多いです。
日本国内のメーカーについては、音はフラットなことが多く、
海外のメーカーの製品はつくりはなんだこれ、というようなガチャガチャな状態でも、
音を聴いてみるとこれが抜群にいい、どこまで計算されているかは分かりませんが。。。
不思議だなぁと感じます。
R:前回、コロナ禍で依頼が増えた、ということをうかがいましたが、
CMJさんの方で何か特別にプロモーション等はされたのでしょうか?
C:特にないんですよ、我々は7年目ですが、これまで一貫してスタンスは変えていないんです。
他社様で断られたというご依頼についてもできうる限りお受けしたり、また一般の方の修理のご依頼をお受けしたり、という姿勢で事業を続けてきた結果、口コミや紹介により、依頼が増えてきたんだと思います。
信頼されていると感じると、よりやりがいも出てきますね。
R:リペア業界は横のつながりというのはどれくらいあるものなんですか?
C:これが無いんですよ、おそらくなんですが、技術を盗まれることなどを恐れているのかもしれません。
弊社でも横のつながりをつくろうと電話等をしてみましたが、HPがなかったり、あっても電話に出なかったり、
それはおそらく当店に持ち込まれるお客様も経験されていることで、
ゆえに弊社への安心感が増しているのかと思います。
そうそう、コロナ禍でいうと、個人でやられている修理店が、
このタイミングで廃業されたというケースも多いようです。職人の高齢化が業界的な課題でもありますね。
R:高齢化問題はここにもあったんですね、その文脈でいうと、一時期私の方で
高校などと提携しての修理学校の設立を考えていたのですが、いかがですかね?
C:それはいいと思います。今の技術者の技術習得時って、今とは異なって、
インターネット等も発達していなかったので、ほとんど技術が見える形で残されていないですよね、
完全に記録ではなく記憶が頼りにされている状態、その技術がこのまま消えてしまうのは、
日本にとっても大きな損失ですので、仕組みとして技術を継承する、
ということは社会的意義もあるのではないでしょうか。
珍しいマッキントッシュのスピーカー
マッキントッシュのロゴをパシャ!
R:CMJさんの今後の野望について教えてください!
C:全国に支店をつくることです、北海道、東北、九州、沖縄などなど、
各地でオーディオ文化があり、エンジニアさんを育てる仕組みをつくりあげて、全国に進出したいですね、
今でも、例えば、ご自宅を新築でしたり改築される際に、オーディオをどのように組めばよいか、
などオーディオのコンサルティングなども承っておりまして、そのような動きも全国で行っていきたいです。
例えば、弊社は埼玉県にありますが、福島や山梨のような遠方からのお客様も多く、
ご家族総出で一大イベントしてお越しになられたりします、そのような場合にはオーディオルームでの音楽を
楽しんでいただいたりするのですが、皆さん感動されます。
野外ライブに行くような感覚で来ていただいているのかもしれません。
また、目の不自由なお客様は、音に非常に敏感で、良い音には本当に入り込まれたり、
若い子についても、しっかりとセッティングされた環境で聴く音楽の良さに驚かれたり、
と、場を通じて、様々な気づきをお客様にいただいています。
このような機会を全国展開を行うことで1人でも多くのお客様に提供したい、
そのためにはエンジニアだけでなくマネジメントサイドも教育が必要です。
私自身も7年前の開設時は完全なる素人でしたが、
今はこのように様々な知識がついてきています。私自身の動きの幅を広げるためにも、
今私がやっていることをできる後継者の育成が急務になっています。
R:可能性にあふれてますね!今後のCMJさんの展開が楽しみです!
コラボレーションも是非、させてください!
C:ありがとうございます!オーディオはいわゆる趣味嗜好品になりますが、
私自身は生活、もっというと人生を豊かにしてくれるモノであると考えています。
弊社ももっと修理の経験値を積んで、より幅広いお客様のニーズに対応できるよう、
1日1日を大切にしていきます。
~編集後記~
CMJさんは累計6000台のオーディオ修理実績をもち、
業界的にも珍しい、一般の顧客向けのサービスを提供されています。
その技術力は業界的にも一目置かれており、多くのオーディオ雑誌にも取り上げられています。
技術力ももちろんですが、その「在り方」に今回はしびれました!
巷ではウェルビーイングなどのキーワードがホットになっていますが、
CMJさんは企業としてのウェルビーイングをまさに体現されています!
取材にさせていただいていて、胸が熱くなりました!